100、負けず嫌い(別視点) ページ2
寝息を立て始めたAの姿を見て、総悟は少し顔を綻ばせた。
明らかに総悟の事を意識して眠れなさそうに挙動不審していたAだったが…。
(一緒の布団に入った方が寝れるって…)
普通逆だろう、なんて思う。
ただ、総悟も気持ちは分かってしまっていた。
自分のものではない体温は心地良いし、Aの匂いが総悟の心を穏やかにさせている。
(あーあ、こんな無防備な顔しやがって…。この顔あの二人に見せてたわけかィ)
顔にかかった髪を手で払ってやると、ほんの少し眉を寄せたあと口元を少し動かした。
ほんのり開いた唇に思わず総悟は吸い寄せられていく。
(……柔けェ…)
指で唇に触れれば、その柔らかさに夢中になった。
(この唇で、俺を好きだって言う日はいつになる事やら…)
総悟は悩みに悩んだ結果、ある一つの答えを出していた。
悩みというのは…まあ、『自分から告白するのは落とされましたと認めたみたいで癪である』というもので。
なんともまあ負けず嫌いというか…餓鬼というか。
十四郎が聞けば大きなため息をついて馬鹿だろうと言い放つような悩みではあるが、本人は真剣に悩んでおり。
結果、じゃあAから言わせるように仕向けようと。
落とされた、という事実はどっちにしろ変わりはしないというのに、本人の中ではそれで万事解決のようであった。
(こんなあからさまに好意を向けてんのに、本人は距離を取ろうとしてんのが不思議なんだよなァ…)
それは一重に性別を騙している事による罪悪感によるものなのだが総悟は知る由もなく、本人にとっては只々不思議な事であった。
…しかし、そうなると更に言わせたくなるのが負けず嫌いというもので。
(色々作戦は考えてるんだけど…どれがいい?パンダ。
…早く言っちまえば楽になるぜ?まあその後、)
心臓がもつかどうかは知らないけれど。
そう付け足して総悟は笑みを浮かべたあと、Aの顔へゆっくり寄っていった。
ふにゃりとした柔らかい唇を唇で堪能し、体を抱き寄せる。
「……ん…、」
気の抜けたAの声がもれて、総悟は慌てて顔を離した。
(……寝てる大丈夫。にしても…可愛い声だしやがって)
「…さっさとしろ、A」
(男だとか、とっつあんの息子だとかもう関係ねぇ。A、早く言っちまえ)
総悟の我慢はまだ続く。
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からし(プロフ) - 猫とやぎさん» コメント有り難うございます!勉強大変だと思いますがその活力にこの小説がなれるなら嬉しいです^ - ^ 続編はもう公開してますから空いた時間にでも見に来てくださいね! (2020年5月19日 17時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
猫とやぎ(プロフ) - コメント失礼します!!学校が始まり…帰ってくれば塾…と占ツクあんまり見れてなくて死にそうになってたんですけど、この小説見た瞬間生き返りました…!!続編とても楽しみです!!!頑張ってください!!超楽しみにしてます!! (2020年5月19日 15時) (レス) id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 常夏さん» コメント有り難うございます!楽しんでいただけているのなら何よりです!是非続編も宜しくお願いします^ - ^ (2020年5月18日 19時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - いつもキュンキュンして楽しませてもらってます! 続編も楽しみです(^^) (2020年5月18日 12時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 猫とやぎさん» 猫とやぎさん、感想をいつもありがとうございます!無事しっかりさせたようで良かったです^ - ^ 明日は更新できない可能性があって今日多めに投稿しましたが、明日も一話くらいはあげられるよう頑張りますね!また見にきてください(*^ω^*) (2020年5月16日 22時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:からし | 作成日時:2020年5月6日 21時