男装パンダは恋を忘れられない【沖田総悟】3

140、完全な二人きり ページ42

「連絡入れときやしたぜ。仕方ねェから明日天候が落ち着いてから帰ってこいだとよ」
「すみません……」

私まで眠ってしまって、台風で帰れなくなってしまうだなんて。
本当申し訳なさでいっぱいになる。

「ま、今日はここでのんびり台風が去るのを待つのがいいだろうねェ」
「そうだな………。はぁ……」

仕事もまだ残っていたというのに、なんて事をしてしまったんだ私は。

いくらなんでも気を抜きすぎだろう。

恋だのなんだの言う前にやる事きちんとやらなくてはならないというのに。
最近の私はそればかり考えて……。

「A、そんなに落ち込むこたァねぇだろうが。……俺との二人きりがそんなに嫌なんで？」
「いやそういうわけじゃなくて、ここ最近気が抜けていたなと反省を………、二人きり？」
「気がついてないんで？……明日まで俺と二人っきりって事だぜ？」

………ふ、二人っきり？！
ちょ、ちょっと待って頼むからっ！
今の私に隊長と二人きりとか難易度が高すぎる！

いや確かに屯所では最近隊長の部屋で一緒に寝ていたけれども。
完全に二人きりというわけじゃなくて、屯所だから他の隊員もいたわけで。

ここは違うだろう？！
完全に二人っきりってことだろう？！


窓をもう一度見てみるが、明らかにひどい豪雨だ。
このマンションは防音性も高いみたいでほとんど雨音は聞こえないけれども、時折光るのも見えるから雷まで鳴っているのだろう。

つまり、無理やり帰ることはいくらなんでも難しそうだ。

「んな嫌がるんじゃねェや。流石に傷付く」
「っ、い、いえそういうわけでは……」

嫌というわけじゃないんだけど、なんと言えばいいのか。
隊長を意識しすぎてしまって……。

「それとも何か、俺と二人きりだと何か問題でも…？」
「ないです何も」
「ふーん…？その割にゃ挙動不審になってるけどなァ」

あと敬語、と言われて背筋が伸びた。
ああ、どうしよう……。

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