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41、んまい棒はただの棒じゃない ページ41

海の件から数日経ったが、今のところは平和だった。
寝不足が続いていて栄養ドリンクでドーピング、クマは化粧で誤魔化して。

ポーカーフェイスは得意なので特に何事もなく日々を過ごせている。

変わったのは赤い顔の男が一度も来ていないこと。
来ていないというのも見えない恐怖があって、それも怖いものの要因であった。


いつも通りパンの補充をしていると、見覚えのある顔がお客さんの中にいた。
…あれ、久し振りにこの二人見る気がする。
最後保湿クリームをくれた後パッタリ来なくなってたんだけど。

「その腕、どうしたんだ?」

彼らのお会計の際、長袖を着て隠していたんだけど包帯が見えてしまったみたいで桂さんはそう小声で聞いてきた。
この人に相談するのも変だなと思いつつ、ストーカーに無理矢理、と言えば驚いたような顔を浮かべた。

「それは辛かったな。暫く真選組が煩くて近寄れなんだが、まさかこのようなことが起こっているとは。そうだな、これを持ち歩くといい」

そう言って渡してきたのはんまい棒。
…そういえばんまい棒って。

「んまい棒に見えるが、これは煙幕だ。地面に投げつければ色鮮やかな煙が出る。その隙に逃げるもよし隠れるもよし。目立つ色故に人も集まるだろう」

変な人とか思っててごめん。
桂さん実は良い人なんだね。

「桂さん…ありがと、うです」

エリザベスさんもボードに言葉を乗せる。
《何かあれば力になります》
「エリザベス、さん。ありがとうございます」

お二人の会計を済ませ、袋を差し出すと桂さんは笑顔を浮かべた。

「怪我させてしまったしな。何かあれば駆けつけよう」
《ここのパン好きです》

そう行って去っていった二人に少し元気よくありがとうございました、と言葉が追いかけた。
なんだか少し元気が湧いた。

その日は桂さんから貰ったものを枕元に置いて寝た。

ほんの少しいつもより長く眠れた。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:からし | 作成日時:2020年3月31日 19時

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