39、海での邂逅 ページ39
「怖かったね、もう大丈夫。一緒にみんなの所に戻ろう」
局長はびっくりするほど優しくて、震える体を抑えながらゆっくり戻っていった。
みんながいた海では坂田さんがキョロキョロと辺りを見渡しているのが見えて、局長がおーい、万事屋ーって声をかけたらこっちを向いて走って駆けつけてくれた。
あー…帰ってこれた…。
「…おい、あの男は」
私の震える様子を見て察してくれたらしく、怒ったような表情で局長に詰め寄るが、局長はまぁまぁ、と坂田さんを宥めた。
「今はそばにいてあげてくれ。腕も手当てしないと」
「腕?見せてみろ」
いつものおちゃらけた坂田さんじゃなくて、驚愕しながらも私は素直に腕を見せた。
こりゃひでぇ、と呟いて無事な方の私の腕を引く。
確かに私の腕は人の指の痕がくっきりと残っていた。
う…気持ち悪い……。
「救急箱がテントにあっから。とりあえず手当てしようぜ」
まだ震えが止まらない。
ストーカーって、こんなに怖いものなの。
テントまで戻ってきたら、ビーチ用の椅子に私を座らせて坂田さんは丁寧に私の腕の手当てをしてくれた。
痕が見えなくなれば少し気持ち悪さも減って息を吐く。
包帯を巻いたあと、坂田さんの羽織っていた上着を私にかけて頭に手を乗せた。
「…怖かったな。何もされなかったか」
その言葉に頷いて、ゆっくり息を吐いた。
震えはだいぶおさまってるけど、恐怖はあんまり消えてくれない。
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作者名:からし | 作成日時:2020年3月31日 19時