パン屋のレジ打ちさん【沖田総悟】1 (ページ14)

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14、説教を受けて（別視点）ページ14

近藤が帰ってきたのはそれから暫くのことだった。

やはり女はただの一般人だったようで、比較的すぐに取り締まりは終わったらしい。

ありゃあ結構酷く怪我してたなあ、女の子なのに。

なんて尊敬している近藤に言われて沖田はむすっと不機嫌になった。
その日から暫くは爆発音と土方の総悟ぉぉぉおお！！という叫び声が屯所内をいつもより多く他の隊員が聞き苦笑いを漏らしたのは仕方ない事と言える。

女の働き先は真選組からそこまで遠くない場所にあるパン屋のアルバイトだった。
その付近で桂の目撃情報がありその辺を巡回していた沖田はあの時の女をガラス越しに見つけ足を止めた。

足元までは見えないが、いつも通り営業はしているようで笑顔で客と接している。

なんだ、大した事ねぇじゃないかと舌打ちをした沖田は、客は随分老人で店内から扉を開けて老人を通した女は一瞬顔を顰め足を不自然に動かした。
すぐに目を逸らしてその場を後にしたがあまり気分が良いものではなかった。

「まだ謝ってないのか、総悟。きちんとごめんなさいしろと言っただろう」

近藤に言われたのはそれから暫くのことだった。
土方も近藤もうるさく、分かりやした言ってくればいいんでしょうと半ばヤケクソで言い放った沖田に、近藤はお金を幾らか渡した。

「これはなんですかィ」
「あそこのパンが美味いって聞いてなぁ、ついでに買ってきてくれるか」
「…わかりやした」

勿論ただ買って渡すなんて事するつもりはない。
屯所を出た沖田はひひひと不気味な笑い声をあげてパン屋へと繰り出した。