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あつい。
ギラギラ輝く日差しは体育だなんてことは気にしてくれず、容赦なく照りつける。
なんでこんな暑い日に外でテニスなんかやらないといけないわけ?
「やばい、あつい。溶ける。」
『ね、やばい。後でアイス買おうよ』
「それ賛成」
友達の愛実と喋りながらゆる〜くラリーを続けるけど、
あ、ちょっとやばいかも。
今フラってした。
「…A、大丈夫?」
『あはは、暑さでほんとに溶けるかも』
「…倒れる前に適度にサボろうね」
って、会話してたはずなのに。
体育から戻るころには結構やばくて、
なんだか頭がぼーっとするし体はちょっとふらふらする。
「ねえ、だから言ったのに」
心配そうな顔で文句を言う愛実の声も届かないくらい。
『教室で休めば大丈夫になるよ』
そうやって強がる私を
「はーいこちら深澤タクシー、保健室までお送りしまーす」
って、どこから現れたのか保健室に連れていこうとする彼。
『え、ふっかなんで』
「ほら行くよ、大丈夫、歩ける?お姫様抱っこでもしますか?」
『は、絶対やだ』
「じゃ、大人しく着いてきて」
俺こいつ連れてくから先生への伝言お願いしていい?って愛実に言うなり
私の腕を引っ張って保健室に強制連行。
『ねえ、大丈夫だって』
「何言ってんの、熱中症侮っちゃダメだよ?」
体育中から結構無理してたでしょって
なんで知ってるの?見てたの?
男子は反対側のコートでちょっと遠かったじゃん。
「せんせーーー」
保健室着いたらふっかが先生への説明とか全部してくれて、
私は大人しくベッドに寝かされる。
「じゃ、放課後荷物持ってくるから」
ゆっくり休めよ!ってそれだけ言って、
保健室を出ていった。
なんなの、もう、過保護か。
でも、うれしかった。
あつい。
…彼が触れてくれたところが。
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作者名:Noa | 作成日時:2020年6月18日 6時