32話 ページ32
「エレン、ミルフィーナはなんで動かないんだ･･･。それに、煙が･･･。」
アルミンが静かにそう言うと、エレンが暗い表情になった。
「俺より酷い状態だ。まだ、巨人の筋繊維が皮膚に張り付いて、意識も･･･｣
「だい･･･じょ･･･ぶ。」
エレンの言葉に反応したように、ミルフィーナが必死に絞り出した声でそう言った。
「体が･･･お･･･もいけ･･･ど･･･だい･･･じょ･･･ぶ。」
ミルフィーナは、そう言うと、エレンの腕からスっと抜け出した。
「ひっ！」
アルミンがミルフィーナの全身を見て、声にならない悲鳴をあげた。
エレンの言った通りミルフィーナの皮膚の所々に巨人の筋繊維が着いており、その筋繊維が蒸発する煙が出ている様は、とても人間とは思えなかった。
「ごめ･･･ん。あと･･･すこし･･･まっ･･･てね。」
ミルフィーナは、か弱い声でそう言った。
どうやら、ミルフィーナの体は重く、思うように動かせないようで、バランスを崩しその場に倒れてしまった。
「ミルフィーナ、お前･･･大丈夫か！？」
エレンがミルフィーナの傍に膝をつき体を支えた。
「エレン、今は、この状況を打破するのが先。」
ミカサはそう言ってミルフィーナの隣に膝をついてエレンと、共に体を支えた。
「とにかく、ここを出よう。行先なんて、どこでもいい、とにかくそこの壁を超えて、地下室を目指す。もう一度巨人になってからな。」
エレンがそう言うと、アルミンが心配した様子で口を開いた。
「そんなことができるの？」
「自分でもできるかわからん。でも、できるって思うんだ。さっきは砲弾を防ぐことだけを考えて無意識にやったんだ。だから、それ以外の機能も持続力も無く朽ちたんだ。今度はさっき巨人共を蹴散らしたような巨人になってやる。｣
「だけど、それじゃエレンが･･･。」
アルミンが不安そうに言う。
そんなアルミンの様子を見てエレンは、再度口を開いた。
「俺には2つ考えがある。1つは単独で行動する。そうすればお前達は死なないで済む。｣
「私も同行する。」
エレンのその言葉にミカサが間を開けずに言った。それから、少しの間、2人の意見の衝突があった。
アルミンは、そんな様子を見て、自分を追い詰めるような表情で俯いた。
ミルフィーナは、自分の体を自分で支えられないのに、エレンについて行くなんて意見は言えずアルミンと同様に俯いた。
そんな中、エレンがミカサの言葉を遮って無理やり声を発した。
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作者名：リー | 作成日時：2018年8月6日 18時
