18話 ページ18
「だ･･･ずげ･･･で」
地鳴りのような低い声が聞こえ、ミルフィーナは顔を巨人へ向けた。
巨人は大きな二つの目でこちらをじっと見据えていた。
「だ･･･ず･･･げで･･･。」
ミルフィーナは目を見開いた。先程の声の主は巨人だったのだ。
「早く！エレン！」
アルミンの叫びが聞こえ、ミルフィーナは、本来の目的を思い出した。
ミルフィーナは、体を捻り巨人の手から逃げ出そうとするが全く動けず、巨人の手からアルミンを見ることしか出来なかった。
アルミンの向かいにいる巨人の口が勢いよく閉じた瞬間、人の手が宙を舞った。
「あァァァァァァァァァァァ！！！」
アルミンが光のない瞳で叫んだ。
ミルフィーナはまさか、と思い、エレンがいた場所を見ると･･･。
エレンはいなくなっていた。
「･･･今のは、エ･･･レン･･･？」
ミルフィーナは信じたくなかった。
･･･エレンが死ぬなんて信じたくなかった。だが、エレンの姿が消え、アルミンの叫びが全てを物語った。
「やめてくれ！やめてくれ！･･･やめてくださぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ･･･。」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ！！」
「うわぁぁぁぁ！やめろぉぉぉぉぉ！」
ミルフィーナは辺りから響き渡る数々の悲鳴を聞き、自分の無力さを呪った。それと同時に、目の前にいる･･･いや、この世に存在する全ての巨人に対して、これまで感じたことがないほどの強い怒りが湧いた。
「だず･･･げで」
巨人はまだ言い続けている。
「助けて欲しいなら、助けてあげるよ。だから、この手を離してよ。」
ミルフィーナは一か八かコミュニケーションを図ってみると･･･。
言葉が通じたのか、手の力が緩まった。瞬間ミルフィーナはすかさずアンカーを発射し巨人と距離を取った。
「ちゃんと助けてあげる！」
ミルフィーナは、そう言うと巨人のうなじへ向けてスピードを上げた。
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作者名：リー | 作成日時：2018年8月6日 18時
