第二十六話[信じたくない勘] ページ30
「やってみ給えよ
_____やれるものなら」
今まで見たこともないような太宰の表情
私が入社時に中ててしまった
太宰の過去を思い出させるようなものだった
「.........ッ
零細探偵社ごときが!
我らはこの町の暗部そのもの!
たかだか十数人の探偵社ごとき_____
三日と待たずに事務所ごと灰と消える!
我らに逆らって生き残った者など
いないのだぞ!」
樋口が感情のままに叫ぶ
ただ私にはどうでも良い事だった。
『だから何』
「!」
「小娘...
今何と云った」
『聞こえなかった?
"だから何"
_____そう云ったんだけど』
「ッ!貴様好い加減に...ッ!」
『五月蝿ェんだよ、
何が
「我らに逆らって生き残った者などいない」
だよ、
そんなにポートマフィアが偉いか?
人間って生き物はそこ迄偉いのか?』
「Aちゃん」
『ポートマフィアが何だよ
人間が何だよ』
消えかけていた灰色の痣と黒い瞳が戻っていく
『いっそのこと全部消えろよ』
「もういい!」
気がつけば太宰が叫んで私の腕を掴んでいた
太宰の人間失格が発動し
私のトランス状態が解ける
『...............御免、』
「いや、善いんだ。
樋口君、
君は...
「マフィアに逆らって生き残った者は居ない」
そう云ったね、
___知っているよその位」
其の声はとても単調な声だった
すると芥川がそれに反応するかのように答えた
「然り
外の誰より貴方はそれを悉知している
元マフィアの太宰さん」
其の時、
私は勘で感じ取ってしまった
信じたくない勘だった
ただ私の勘はほぼ十割の確率で中る事は
自分が一番善く知っていた
私が中ててしまった過去を明らかにした芥川は
一瞬だけ、
太宰を慕うような眼をしていた
ラッキーカラー
あずきいろ
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作者名:蒼花 | 作成日時:2019年5月23日 18時