第八話[勧誘] ページ11
其の異能力無効化で敦の虎化を解いた太宰は
倒れてきた敦を見て
「男と抱き合う趣味は無い」
と云って地面に放り投げた
『最ッ低』
「心の底から云わないで(泣)」
最早茶番のようになってしまった私達の会話を割るように誰かが叫んでいるのが聞こえてきた
「おい太宰!」
『国木田さん?』
「ああ
遅かったね、虎は捕まえたよ」
そう云って太宰は
地面に寝そべっている敦を指した
「この小僧...じゃあそいつが」
「うん、虎の異能力者だ
変身してる間の記憶が無かったんだね」
『!』
そうか、それで敦は孤児院を追い出されたのか
それなのに記憶は無くて...
なんて酷な話だろうか
「全く___
次から事前に説明しろ」
そう云って国木田さんは太宰に昼間渡していたメモを返していた
ん?説明しろ?
よく見ると其のメモには
[十五番街の西倉庫に虎が出る
逃げられぬよう周囲を固めろ]
って事は真逆___
『___敦が虎の異能力者だって、
太宰は分かってて...』
何という男だ
自分を川から救った少年に虎探しを手伝わせ
挙句其の虎の異能力者だと分かっていたなんて
ふと顔を上げると国木田さんの後ろに
探偵社員であろう人達がいたのに気づいた
帽子を被り眼鏡をかけ
いかにも探偵っぽい服を着た男性
江戸川乱歩
能力名___[超推理]
蝶の髪飾りを付けた女性
与謝野晶子
能力名___「君死給勿」
つなぎを着て
麦わら帽子を後ろに下げている少年
宮沢賢治
能力名___[雨ニモマケズ]
この人達が太宰の同僚...?
なんか面子濃い←
「どうする太宰?
一応区の災害指定猛獣だぞ」
国木田独歩
能力名___[独歩吟客]
確かにこのまま軍警に出すなんて
幾ら何でも孤児院出身の敦には酷だ
『軍警に引き渡すなんてそんなこと___』
「しないよ?」
『え?』
しない...って
「何か考えがあるのか?」
「うふふ
実はもう決めてある」
嫌な予感がする
とても嫌な予感が___
「うちの社員にする
ついでにこの子も」←
私を指差した
『......は?』
おい待った。
「.........は?」
「『はぁぁぁあああ!?』」
中島敦
能力名___「月下獣」
倉代A
能力名___「AnotherLost」
これが事の始まり___
怪奇ひしめくこの街で
変人揃いの探偵社でこれより始まる怪奇譚
これが先触れ
前兆し_____
ラッキーカラー
あずきいろ
73人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼花 | 作成日時:2019年5月23日 18時