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19話 side I ページ21

明美ちゃんには彼氏がいた。明美ちゃんは開久に脅されている彼氏を助ける為に俺を利用しようとしていたんだ。けれど俺はそんな二人を助けて明美ちゃんには未練はないように振舞った。だが本当は全く未練がない訳じゃない。ちょっとは俺を追いかけてきてくれるかなと期待していたんだ。

明美ちゃん、全く追いかけてきてくれなかったな……。はぁ…。どうして俺はいつもこうなるんだ?

とぼとぼと歩いているとレジャーシートを敷いてその上に座っている谷川を見つけた。

「谷川?何してるんだこんな所で」

「今井さんを待ってたんですよ。あの二人の前ではかっこつけててもやっぱりちょっとは辛かったでしょう?」

「谷川…!」

谷川の言う通りだった。そして俺は谷川の隣に座りいろいろと愚痴り始めた。しばらくすると愚痴るのに夢中でなかなか気づけなかったが、誰かが俺の目の前にいた。

「あれ、Aさん…?」

それはAさんだった。

「今井さん。谷川さんから何があったのか聞きましたよ」

ああ、俺のかっこ悪いところAさんにも知られちまったのか。

「…ははっ、情けないですよね。俺」

「そんな事ないです。普通、利用されていたって分かったら助けになんて行かないです。今井さんはかっこいいですよ」

俺はきっとこの言葉が欲しかったんだ。誰かに俺は俺の頑張りを認めてほしかったんだ。

いろいろな感情が抑えきれなくなり、ついに涙目で叫んでしまった。

「うわぁぁぁぁああ」

号泣しそうになったがなんとか堪える。すると、谷川が声をかけてきた。

「彼女の代わりにはなりませんけど…、今井さんには俺達がいますよ!」

「そうですよ、今井さん!」

「いたみさん…っ、谷川ぁ…」

谷川はいつもこんな俺を慕ってくれて感謝しかない。

Aさんは…。Aさんは俺にとって何なんだろう。明美ちゃんと一緒にいた時もAさんを見ると寂しい気持ちになった。…何故なんだろうか。

…それが何故かは今はわからないがとにかくAさんも谷川も俺にとって大事な奴らだってことには変わらない。
俺はこれからも、この二人を守っていきたい。

俺は二人を抱きしめた。

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リリィ(プロフ) - 受験生さん» 感想ありがとうございます!嬉しいです(●´▽`●) (2019年1月4日 0時) (レス) id: ef18e6cd08 (このIDを非表示/違反報告)
受験生 - 墨汁wさすが三橋ですね。この小説大好きなので、更新頑張ってください。 (2019年1月3日 23時) (レス) id: f6013c941d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ | 作成日時:2018年12月12日 2時

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