Lilアソート(バレンタイン短編) (ページ6)

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まあ…と小さく返事をすると

彼女は足を止めてこちらを向き、

とあの手をぎゅっと握りしめた。

『嶋崎くんって
モテモテで、笑顔も素敵で
私とは正反対やなーって目でおううちに、

好きになってん。

で、そう思ったら居ても立っても居られへんくなって
バレンタインに告白しようって決めててん』

彼女がこんなに話すことへの驚きと
とあに好意を寄せてくれていたことへの嬉しさとで

「そうなんや…」

なんて変な返事しかできひんかった。

ただ、握られた手から段々と体中が熱を帯びていくのがわかる。

『って、人付き合い下手で
高校入ってなかなか友だちできひんような
やつに告白されても、やんな』

そういえば、高校入学と同時に
隣町から引っ越してきたって聞いたことがある。
別に、クールなわけじゃなくて
入学しても誰も仲良い人がおらんくて話できへんかっただけなんやろな…。

困ったように眉毛を下げて、
ごめんね、と謝って手を離そうとする彼女を阻止し、

今度はとあのほうからぎゅっと握った。

「とあ、神田さんのこと
全然知らんけど、知りたいって思った。

今日一日、ずっと神田さんのこと考えてたもん」

『…ふふ。それは嬉しい。
これからもっと、仲良くなりたいな』

まずは友だちから。
彼女の唐突な告白から始まったこの関係が

…どうなるかはもう少し、後のお話。

fin

NEWT→PURPUL×年上女子