29話 ページ29
ボーッとする意識の中で手の温かさを確かに感じた。
私どうしたんだっけ、かなり血が出てた気がする
それで、他の手術と重なって輸血の血が足りなくて怪我だらけなのにマイキー君が血を分けてくれた……
気がする
……あれ、そんなことあったけ？？
思考が止まりやっと目が開いた。
驚いたように目を見開くマイキー君だった。
｢A！？起きたのか！！…エマも死んでAまで死んじゃったら、エマにも顔向けできなくなっちまうだろ…良かった…生きてて…｣
『エマが死んだ？』
マイキー君の後ろには涙を流す母さんが居て、よく見ると最近の記憶よりやつれている。
｢良かった…圭介だけじゃなくAまでｯ居なくならないで｣
『え…なんで…』
なんで圭介は死んじゃったみたいな言い方してるの？
圭介はあの日刺されなかったから生きてるでしょ
ドラケン君だってエマが死んだのって夢じゃなかったっけ
グシャリと前髪を強く握ったとき、節々の痛みを感じた。
『“ゆめ？……いままでの…、そっ…か…”』
いつも報せは突然だ
そして、遅れてやってくる。
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作者名：らいあ | 作成日時：2021年10月18日 17時
