十人長と魔法少女。2 (ページ35)

今日:30 hit、昨日:1 hit、合計:1,063 hit

人の夢を踏みにじってんじゃねぇページ35

立原目線
　ドレスに着替えたAが撮影場所迄案内される。
｢どうかな、道造くん｣
｢お、似合ってんじゃねぇか。なかなかいいぜ。｣
Aは嬉しそうに微笑んだ。
その時だった。スタッフがため息をついた。
｢正直ね、貴女みたいな子供を撮った所でうちの会社は盛り上がらないんですよ。もっとこう……アイドルとか、モデルとかを撮影していた方が盛り上がるんです。……さっさと撮って終わらせて貰ってもいいですか？｣
Aは傷ついたような表情をしていた。
｢良いですよね、子供は。泣けば済むと思ってるんですから！高校生なんて勉強だけしてればいいんですよ！あはは！｣
Aはその場を走り去ってしまった。
Aの夢はたった今、目の前のカメラマンによって踏みにじられた。
ウェディングドレスを着て写真を撮るという夢だ。
Aはたまにウエディング雑誌をこっそり買って読んでいることがあった。
その雑誌には付箋が沢山貼り付けてあったくらいだ。
｢お前、いい加減にしろよ！人の夢を踏みにじってんじゃねぇよ！！何でもバカにしていいと思ったら大間違いだ！あいつが、Aが、どれだけあのドレスを着ることを夢見ていたかも知りもしない癖に、莫迦なこと言ってんじゃねぇよ！謝れよ！｣
カメラマンは面倒くさそうに笑った。