番外編・滅ぼすのは違う ページ28
敦目線
ニヤリと笑ったみことちゃんは今にも僕のいた孤児院を滅ぼそうとした雰囲気だった。
「まずは落ち着こう?僕は孤児院を滅ぼしたいだなんて思ってないよ」
「……だって、傷付けられたんでしょ?だったら台無しにしなきゃ。それが、貴方にできる唯一の反撃。その異能で孤児院をめちゃくちゃにして、台無しにするの。ふふっ。」
「……僕からも言わせてもらう。異能は誰かを傷つけるためにあるんじゃない!望まない異能で苦しむ人だっているんだ!台無しにしたところで、僕になんの得があるの?何も無いよね?……滅ぼすのは違う!」
みことちゃんは僕の顔を見つめたまま固まった。
言いすぎたかもしれない。
「……台無しにしたら、今までの嫌なこと忘れられるかなって思ったの。貴方を傷つけた孤児院の人達に反撃できるかなって思ったんだよ。」
「……っ、確かに、僕は院長に苦しめ続けられた。でも、もう居ない。だけれど、僕の傍に今でも立っている。……君だって誰かに愛されて、大切にされていたはずだよ。それを忘れちゃダメだ!台無しにすることが唯一の反撃だなんて、簡単に口にしちゃいけないんだ!」
みことちゃんは僕に近寄るとそのまま手を額に置いた。
「なら、見せてあげる。私がどんな生活をしてきたのか……!反撃したくなる理由、分かるはずだよ」
────僕の中に、みことちゃんの記憶が流れ込んでくる。
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作者名:柚希 | 作成日時:2023年8月24日 14時