▼*Kishow Side ページ9
紀章「…A」
A「なんですか?」
俺よりも先を歩くAに声をかけたものの、
何を話していいかわからない
そんな俺に、
"無計画ですね、由佳みたい"
なんて言われる
紀章「物凄く心外」
A「きっと、同じことを言いますよ
…由佳も、ね」
紀章「……確かに」
話は続かず、途絶えてしまう
カラスの鳴き声が嫌に煩く聞こえる
A「紀章さん」
不意に名前を呼ばれ、
立ち止まればAも止まっては俺の方を見た
A「次は無いですから
やった瞬間に、家から荷物まとめて出て行きますね」
…いや、だから、
俺はお前以外とやる気なんてない
………なんて言ったところで、
その話はスルーされるのがオチだろう
俺とAの間に荒い風が吹き荒れる
それのせいで、Aの履いているミニスカートが靡く
A「……ッ!!!」
急にしゃがみ込んでは、俺を見上げるA
その顔は真っ赤になってて…
紀章「…かわいいかよ」
A「見てないですよね…!?」
紀章「見えた」
A「…ッ!!!!!」
余計に真っ赤になる顔に
とても愛おしいと思うほどだ
A「何見てんですかッ!
見ないでくださいッ…!!!」
顏も俺が見えないよう、
逸らし始めるA
スカートが靡いての慌てようも、
恥ずかしさのあまりに顔を隠そうとする姿も、
俺を煽っている様にしか見えなくて…
紀章「__________A、」
A「なんですか__________」
"ゴメン"
そう言って、Aに近付き、
着ていた上着を被せ、キスを落とす
そうすれば、Aの目には涙が溢れ始めた
紀章「誘ってんの?」
A「ちがッ…!」
紀章「今すぐ、ホテル行く?」
A「何でそうなんの…!!!」
零れ始めた涙を手で掬い、
"これ以上煽らないで"と言えば、
目を閉じ、口元を両手で隠した
…さらに煽られてるようにしか思えない行動なんだけど
ぐっと我慢しろ、俺((
紀章「…ほら、買い物
行くんだろ?」
その言葉に頷くAは、
俺を見て何処か切ない顔をした
口を開いたものの、一旦閉じては、
また開いて"早く行きましょう"なんて言う
紀章「ねぇ、A」
A「何ですか?」
紀章「言おうとしてたことは何?」
その問いにAは何も答えなかった
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作者名:奏人(タクト) | 作者ホームページ:https://twitter.com/Takuto_Se
作成日時:2019年9月17日 22時