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怜音が運転している車に揺られ、
僕は俯いてただ片手を眺めていた
…震えていた
揺られているからじゃないのはわかってる________
息を呑んで、強く握りしめていると、
隣から手を包んでくれた
"大丈夫"と言わんばかりに、由佳が包んでくれたのだ
でも、
この空気も美味しくない
嫌だ…!
逃げ出したい……!!!
そんな気持ちがずっと滞在している
"嫌だ、怖い"と本能が言ってるのだ
「クレープ、食べへんの?」
いつも通りに話しかけてくる由佳
「チョコバナナ食べたから、
イチゴ一口ちょーだい!」
"いいよ"なんて返事もしないうちに、
一口食べて"うまぁ〜"と呟いた
「A、食べないの良くないよ?
きっと口に出すと色んな事言われそうだったから言わなかったんだけど、
家で一人でいる時、食べてないでしょ?
身体に悪いんじゃなーい?
身体は資本でしょ?
体調崩しやすいんだから、しっかりしないと
また周りに迷惑かけるし、
性格悪子みたいに仕事に穴を空けることになるぞ?」
A「…それだけは嫌」
「なら、ちゃんと食べないとね」
ゆっくりと優しい声色で話す彼女は、
僕の波を安定させてくれる
少しだけではあるが、落ち着いた気がする
「やることはやる
別に、本当に思ってることを言ったって構わないよ?
誰も責めやしない
言えない空間にしたのなら、表現の自由を奪っているもの
重罪だよ、死刑」
………あっさりとにこりと言い放って、
自身の脳が明らかに冷静になるのがわかった
A「死刑には絶対ならない」
「はい、それでこそAだよね
もっとへんてこりんな発言した方が良い?
てかね、他のキャストの前で"ぶんず"の話したら
"え、何それ"って言われたの」
A「だって、方言じゃん
…てか、それ何回も言ってる」
「あ、そう言えばね」
A「…もうやめて
馬鹿がこれ以上露見して困るのは、お前」
「えぇ、Aとお話したいだけなのに〜」
A「それは気持ちだけでいい
………でも、ありがと」
「…力になれているのは、ほんの少しだけ
だから、お礼なんていらない」
A「欲しいのは、僕の手作り夜ご飯ってか」
「そう!」
ニッコリと答えた由佳に、思わず頭を抱える
さっきのクレープの件といい、空気読めなさすぎ
マイペースにもほどがある
……………こりゃ、今後の課題ですね
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作者名:奏人(タクト) | 作者ホームページ:https://twitter.com/Takuto_Se
作成日時:2019年9月17日 22時