I、愛、哀2【谷山紀章】 (ページ10)

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▽ ページ10

「…まぁ、Aのこと好きだけどね」

A「そりゃ、どうも」

「そこ、"私も好き"って言うところな」

A「…本当、変わりモノばっか」

由佳の運転している横で、
ため息をついた

流れていく景色
滞りのない人通り
変わらない相棒
変わりモノの周りの同業者
そして、
昨日とは一変、不思議と冷静にいられる僕

ヒトはきっかけを以てして、
変わるのは前々から理解しているけど、

A「あまりにも、棘がありすぎでは…」

2つ目の現場を終えたが、
他の人に棘のある言い方をしてしまった
…本当、申し訳ない
無関係なのに

「多分、皆びっくりしたろうねぇ
まぁ、″何かあったんだろう″って
皆わかってると思うよ？」

A「…ただの八つ当たりにしかすぎないじゃん
平然に装っているつもりだけど、
それは自分だけ思っていることであって、
他人から見れば異常だ
いつもの僕はどんな僕だっけ？
…それすら、忘れたよ」

「心境の変化で人格(？)が変わる
という過程でいくのなら、
なんで、私はAが
″付き合っている″ことに対して、
気づくことができなかったのか…
私が天然だったからっていう可能性もあるけど、
それとは別に、隠すチカラがそれなりに身についてるから
だから、見抜くことができなかった
……私はそう思うけど」

A「めっちゃ現場でボロを出している僕に
隠すチカラはない
…そして、答えになってない」

「だって、AはAじゃん
何を演じても、自分は自分
そういうもんでしょ？
…別に、無駄に繕わなくたっていいんじゃない？
AはA
ありのままでいいじゃん
ありのままで現場に行って、
ありのままに話して、仕事をこなして、
一日を終える
それでいいじゃない」

まともなことを言い始める由佳に目を丸くしていると、
″Aの受け入りだけどね″と言った
…感動を返せ((

「てか、現場に入りたくないんだけど」

A「なんで」

「思わず、睨んじゃいそう」

声色的には笑っているように聞こえたが、
ルームミラーで見ると、目がマジだった

「威嚇しそう、どうしよう…」

A「まだ、着いてないから
現地に到着してから状況に応じて、対処しなさい」

「だって、可愛い可愛いAと付き合っといて
浮気だよ！？
ふざけんじゃないよ！」

……いや、お前の方が可愛いわ

あと、

なんで″付き合っている″って噂が出たのか、
何となくわかった気がする

相棒愛が酷いんだ、お互いに