I、愛、哀2【谷山紀章】 (ページ26)

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▽*Kishow Side ページ26

紀章「…何か、ゴメンね」

「謝る相手、違いませんか？」

その言葉に"それもそうだ"と思う

斜め後ろから店員さんが、
静かにオムライスと珈琲を置いてそそくさと退散していった
…うん、わかるよ
その気持ち

………あのね、俺も逃げ出したい
めっちゃ穏便で天然で優しいはずのこの子が、
本当、今日は怖い
嵐の前の静けさっつーの…？
とりあえず、そんな感じ

「まぁ、ゆっくりでいいですよ
未成年じゃないので、居れますし
それに、店主とは知り合いなので
遅くなるようでしたら、居れるように交渉しますし…」

…確実に俺から全て聞きだす気だ、この子
いや、話すよ！？
話すけど………

「ここ、知っているとは思いますけど酒は無いですよ？
酔った勢いで話されても、怒りしか生まれないのでそこのところ把握お願いします」

俺の考えていることが、全て筒抜けだったようだ

しょうがなく、目の前の出来立てのオムライスに手をつけた

「話しづらいみたいですので、勝手に私
話してますので、何かあったら口を挟んでもらって構いません」

そう言って、話しながら残りのオムライスに手を付け始める伊月ちゃん

器用だな…

そう思っていると、急にSMSの音が鳴った
すると、伊月ちゃんは"ちょっと失礼します"と言ってスマホを見始めた
そして、言った

「何やってんの、アイツ…」

ため息を吐いたかと思えば、
すぐさま返信をして携帯を自分の近くの机に伏せて置いた

「…色々話しましたけど、忠告だけしときますね
うちのA、突如変なことを突拍子もなく平然と言いますから
気をつけた方がいいですよ」

紀章「そ、れは、どういうこと…？」

「そのままです
…私は、"試されているのか"って思いました
諦めるわけがないのに」

"試されている"…？

何を言っているかわからなかった

「私、Aが弱っている姿
久しぶりに見ました
…最近だと、体調を崩しても元気に振る舞っていたAですけど、
あそこまで弱るのは初めてだと思います」

紀章「待って、"体調崩して"ってどういうこと…！？」

「遺伝的な関係上で、持病持ってるんです
…命には関わらないものなので安心してください」

紀章「ここ最近、Aは元気そうに見えたけど」

「ここのところ、体調崩しがちですよ
天気も不安定だし、気圧も不安定で
言わなかったのは、心配をかけたくないからだと思います
…きっと、"重荷になりたくないから"」

最後の一言で、伊月ちゃんは一気に悲しい顔をした