I、愛、哀2【谷山紀章】 (ページ23)

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「ほい、できたよ～」

出されたおかずたちに、目を輝かせた
見た目がとても美味しそうで、お腹が減ってきた
…出来過ぎかよ、怜音めｯ！

「ほら、温かいうちにお食べなさい」

A「いただきます」

ご飯を受け取り、
おかずをお箸で摘まみ口に含む

A「……ｯ美味しい！」

「そう？
…ありがと」

苦手な人参とかも入っているけど、
あまり気にせず食べれている

夢中になって食べていると、
"急いで食べなくてもいいのに"なんて言う怜音は
いつの間にか食べ終わっていた
僕は基本的に食べるのが早いけど、
それよりも早いらしい

「ゆっくり食べてていいよ
珈琲作っちゃうね
…あ、ミルク適度に入れちゃうからね」

………本当に、僕の事を熟知しているようだ

食べ終え、"ご馳走様でした"と呟き、
食器をシンクに持って行き、洗い始める

「別に俺が片付けるから良かったのに…」

A「これくらいやらせてよ」

その言葉に、"律儀だねぇ"なんて言われる
…ただ単に、何もしないという行為が申し訳なさ過ぎて
勝手に体が動いちゃうんだけどね

スポンジに洗剤を付けて、洗い始める

「あー、客人が何してんの！」

A「洗ってるの」

「だから、客人は座ってなさい！」

A「中途半端にやって終わるのも尺だから、最後までやらせて」

「………ったく、もう」

諦めたようで、珈琲を入れ始めた怜音
僕は素早く洗い流しの作業まで終わらせる

A「持ってく」

「す・わ・って・て」

念押しされた、よね…
しょうがなく、炬燵に入って待っていると目の前にコップが置かれた
若干の湯気と中身の色からして、
結構のミルクを淹れてくれたようだ
有り難い

「…………で、何かあったの？
居候ってことは、彼氏とでも喧嘩したとか？」

"喧嘩"と言っていいものなのか…
というより、"喧嘩"なのだろうか

「まぁ、どうせあれ俺にはわからないことだなぁ…
恋人なんて、居たことないし………」

A「すぐに引っかけてきそうだけどね、怜音」

「俺を何だと思ってんの」

A「だって、声質もよければスタイルもいいし…
普通に声優とか俳優業、モデルでもおかしくないと思うもん」

「ふ～ん…」

A「なのに、カメラをやってるのは何か理由があるから？」

質問をすると、まるで"愚問だ"と言わんばかりに無表情で応えられた