I、愛、哀2【谷山紀章】 (ページ18)

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▽ ページ18

あれから、達先輩としもんぬ先輩と別れ
由佳を送って行って、
今は車内で待機してた

…まぁ、僕もこの後仕事だけど、
由佳と気軽にドライブ行けるというのが唯一の救いだ
その仕事はナレーションだけど、
少し苦手だ
普通にテレビを見ていて、
自分の声が突然聞こえて、
テレビを消したことがある
そんな出来事をツイートすると、
″見ました″など、皆がコメントをくれるのだ

………お恥ずかしい
まぁ、ナレーションに限ったことじゃない
アフレコもそうだ
…でも、″仕事が楽しいからいいや″って思うんだよね

友達たちみたいに普通に就職してたら、
地獄を見てただろうな…うん、

冷えた車内の中、白い息を吐きつつ、
台本を捲った
そろそろ暖かくなってもいい頃なのになぁ…

ぼんやりと台本を眺めていると、
助席の方からノック音が聞こえ、見てみると、
由佳が飲み物を持って手を振っていた
鍵を開けると、一方的に″あげる″と言われ、
受け取ると、とても、温かかった

「そんでさ…
この後、急に予定が入っちゃってさぁ」

A「しょうがないでしょ、そういう仕事なんだから」

「本当に行きたかった、パンケーキ！」

A「目的はそっちかｯ！」

「とりあえず、最寄り駅に置いていって
車は持って帰っていいからさ」

A「帰りは？」

「んー、遅くなるかは不明…
まぁ、日を跨いだら心配して
どうせ、連絡手段ないんだし……」

A「…幼稚で悪かったな」

「そこまで言ってないよ！？」

必死に弁解しようとする由佳を横に、今一度考える

由佳の性格からして、
折角のドライブなのに仕事で潰れた
→″何で仕事入るの、デートなのに″と言う
→→とりあえず、″仕事″というワードを言うはず

…なのに、由佳は言わなかった

「おーい、出発しないの？」

A「…誰かと会うの？」

「うん、なんか大事な話だって」

A「え、告白！？」

「いや、ないから」

A「彼氏ができたら、許さないからね！？」

「…それ、お前が言えること？」

…確かに、無断で彼氏を作りました((
うん、作ったよ

「…ごめん、言い方キツかった」

A「………事実だから」

「その缶ジュースで許して」

A「″嫌がらせ″の間違いじゃなくて？」

由佳が渡してきたのは、
僕の苦手なココアだ

「だって、温かいお茶苦手でしょ？
苦い珈琲とかも苦手じゃん！
そしたら、ココア一択だよね
コンポタ無かったし」

コンポタ補充しやがれよ…