マリオネットの本心3【谷山紀章】 (ページ8)

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第106話ページ8

A「でも、ありがと

………"何に対してか"までは、はっきりとは言えないけどね」

由佳「結局、Aが考えていることを私は実行しただけじゃん…？
それって、つまりは勝負はもう＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」

A「なーに、勝手に諦めてん？
…僕の武器は、由佳でしょ

予定外を神様に見せて、
物語を狂わせちゃえばいい

だから、好きなことやりなよ
好きにアドリブして、演じ狂えばいい
僕は、ミスがないようにいつも通りフォローに回りつつ、
目立てるように頑張るよ

…そう、このライブを組み立ててくれたんだから」

紀章「俺、普通に予想外なことすっからな？」

A「紀章さんの予想外は今に始まったばかりじゃないですよ」

独り、絶望の色に染まり始めた由佳に、
"まだ、終わってない"と言えば、
一気に色が散った

A「僕が何もやらず、
呑気に過ごしていたと思うか？」

僕だって、此奴に賭けている
…信じないで、誰が信じると言うのだ

由佳「…だって、明らかに歌詞忘れの酷いAつんだもんさっ
基、記憶力のクッソ悪いAつんだもんさっっっ」

A「ディスってんだろ、てめぇ」

いや、事実だけどさ…
ていうか、

A「紀章さん、笑いすぎ」

紀章「事実過ぎてwww」

A「僕に失礼すぎです、2人とも」

僕が忘れっぽいのは、多少心当たりはある

だから、さっき瞑想(？)とは言わないけど、
ボクに問いかけたのだ

A「ま、今回、
事前に言った訳だから、僕からも一言ね」

由佳「え、引退宣言は聞きたくないよ？」

A「よーく聞けよ、マイパートナー」

片手で由佳の頬を掴んでは、
目を合わせる

………他人の目を見るのは怖い
基本は見ない
それは、紀章さんも由佳であってもだ
疚しいことがある訳ではない
ただただ、怖くて僕が逃げているだけ

日によっては、
由佳とたまに"何秒目を合わせることができるか"とか、
餓鬼っぽいようなことをやったりして、
克服を目指していたものの、
やはり、"目が合った"と思った瞬間に逸らすことが多い

A「アドリブ、すっからさ、
手ェ、抜くんじゃねぇぞ」

1つ、深いため息を零しては、
宙へと伸びる

A「多分、僕は今日、
"ボク"を味方にすれば、百人力かもしれない
…いや、それ以上かも

不可能ではないけど、
味方にするのは怖い
なら、ショック療法だよね＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」

呆然と聞いている由佳に、
不敵に笑って見せた