第83話*Kishow Side ページ34
紀章「…!」
俺の口は自身の力ではなく、
Aちゃんの手によって止められた
その彼女は、
大粒の涙を零しながら、
"ごめんなさい"と連呼するばかり…
違う、違うからッ…!
俺が謝らなくちゃいけないのに、
どうしても言葉にできなくて__________
彼女の押す力が徐々に強くなる
A「ごめんなさいッ…!
わ、たしっ、帰る……!!!!」
器用に隙間を潜り抜けるAちゃん
紀章「待て…!」
A「やだ…!
ごめんなさい、許して……!!!」
腕を掴んだものの、
その細い腕でそんな力がどこにあるんだって思えるほど、
力が強い
紀章「俺が悪かったから…!」
A「やだやだやだやだ…!!!」
紀章「お願いだから、Aちゃん…!
俺の話を______」
A「やだ、もう聞きたくない!!!!!」
拒絶の言葉を吐き出す彼女
様子が明らかに可笑しい
いや、俺のせいなんだろうけどさ
紀章「頼む、頼むからッ…!」
しゃがんで片耳を塞いでいる彼女を
強く抱きしめ、"A、聞いてほしい"と懇願すると、
言葉の途中でプツンと切れた
そして、俺の名前を一回、
途切れながらも呼び、また、"ごめんなさい"と謝った
A「もう、近づかないから…
不愉快な思いさせて、ごめんなさい……!
放して__________」
紀章「Aちゃん、俺の話を聞いて_______」
俺は、謝った
俺も数分前の俺に正直、驚いている
…きっと、余裕がなかったのだろう
幼稚すぎる行動だったと本当に思う
俺はただ、彼女に謝ることしかできない
紀章「_____…でも、これだけは信じてほしい
俺、Aちゃんの事、
嫌いじゃない
寧ろ、好きだから
Aちゃんが望むなら、俺は近づかないし、
喋りもしない
…俺は、それ相応以上のことしたから
本当に、怖がらせてゴメン」
A「…ゴメン、考えさせて」
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作者名:奏人(タクト) | 作者ホームページ:https://twitter.com/Takuto_Se
作成日時:2019年11月20日 22時