I、愛、哀【谷山紀章】

▽ ページ36

CMがまだ続く中、
着替えが早く終わったのは僕だった


………皆さん、女子ですか！？


"早い"と言う撮影のスタッフに、
"きっと、僕とあの方々は性別反対に産まれてくるべきだった"
と伝えるとスタジオには笑いが起こった

とあるスタッフが"CM明けちゃうんで、場を繋いでください"
という一言に素直に頷いた
さっきいた位置に足を組んで座り、スタッフが何故か僕の眼鏡を持ってきた
どうやら、
髪型でイケメンだったから、眼鏡かけて更にイケメン度上げよう
ということらしい
…僕はイケメンじゃないけど
眼鏡を受け取り、かけるといつもより視界が良好で他人の目がどうしても気になる


目の前にいたスタッフが指で合図し始めて、
慌てて進行を開始する


A「えぇと！！！
まだ、男性陣が着替え終わってないので………
まぁ、突破したということでこういう待ち時間勿体ないからね
僕のお間抜けな話でも聞いてください」


最近、何あったっけ…


A「……あー、今日だ今日
今日ね、朝ご飯作ってたんだけど



間違って包丁落としたの





足、一ミリでも動かしたらマジで刺さってた」


紀章「何してんの！？」


A「いいから早くしてくださーい」


浪川「え、早くない！？」


森久保「Aちゃん、着替えるの早すぎｯ！！！」


色々言われてるけど、貴方達がとても遅いだけです((


A「本当ね、昔からドジを連発していて…
中学のテニスの試合の前にコートに移動しようとして階段を降りていたら、
一段見落としていて転んだら足が骨折とか
シャーペンの芯を出そうとノックしたら、間違って指の腹に刺しちゃったとか…
あとね、裁縫が苦手！！！
テディベアとエプロンの作成中に合計50回以上は刺したんじゃない？
割と不器用なんだよね
…工作系は好きなんだけど

で、準備できました？」


浪川「できたけど、本当ドジなんだね」


A「…失礼ですね
では！！！
お三方に登場していただきましょう！」


カメラさんが視点を移動したのを確認して、
素早く髪を直す
入ってきた三人に、
中にいたスタッフの皆さんは声を上げた

▼→←▼

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す