I、愛、哀【谷山紀章】

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その後、ぞろぞろとキャスト人が入ってくるなり
監督も来て、収録となった


他の子がミスを連発してしまっていたものの、
場の空気は全く変わらなかった

僕自身も、ミスというミスはほとんどしていなく、
気になっていた部分も監督からはOKが出た
…ちょっと、僕自身が納得してないんだけど


収録終わって、由佳が隣に来たかと思えば予想は的中…

"お腹減った"

と言い始めた
予想できてしまったことと、
あまりにも単純思考に呆れてため息を吐くとともに、

"ちゃんと食べないからだ"

と注意をすると、
"だって、朝はお腹空かないもん"
と言った


A「次も仕事入ってるし、もう食べちゃったから無理だよ」


「少しくらい、時間を割いてくれてもいいじゃんか〜」

なんて、項垂れつつ空腹防止策として持っていたガムを噛み始めた
…多分、効かないんだろうけど


ざわつく現場の中で、一つの声があまりにも鮮明に聞こえた


「あの、谷山先輩ｯ！」


…紀章さんの名前だけで反応しちゃうあたり、
結構重症な僕

じゃなくて！！！！


その声に由佳も気づいたらしく、
2人して一言も喋らなくなる


「今日、一緒にご飯どうですか…？
あの、他の方も誘ってでもいいんで……」


「…すっごい勇気あるね、いつ見ても」


由佳のその一言には、まったく同感である
現場が一緒になると毎回と言っていいほど、
紀章さんを食事に誘うのだ


…それに関して、僕は嫌だった

けど、しょうがない
だって、人気声優で
付き合っていると公表していないのが悪いんだもの………


紀章「ゴメンね、今日もちょっと無理っぽい」

そう言って、断る紀章さん


「そうですか…
じゃあ、また日を改めてお誘いいたします」

紀章さんの前から居なくなるその女性は、

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿花崎結愛


彼女の本性は、
女性陣しか知らない

上から目線で、
ご飯は必ず男性を誘う
女性同士の場合は、しょうがなく行くものの、
8割の確率で途中帰宅する


そして、女性のみの現場だと色々と自慢話が始まったり、
愚痴を言い始まったりする

…風の噂だが、権力者であるとかないとか


まぁ、実際に権力者かは自分の目で確認していないから信じない
目の前にある情報だけで十分だ


「ねぇ、次の現場の前にコンビニでおにぎり買ってもいい？」


A「……ん、おけ」


台本をバッグの中にしまい、
現場から出た

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