I、愛、哀【谷山紀章】

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A「こんにちは〜」


現場に入っていくと、返事をしてくれた


荷物を座る予定の席の下に置いて、
台本を取り出し席に着く


下野「Aちゃん、昨日はありがと」



笑って喋りかけてくれるしもんぬ先輩に
"全然大丈夫です"と伝える
しもんぬ先輩は僕の隣に座って、台本をペラペラと捲った


下野「今日さ、絡みあるじゃん？」


A「…あ、あれって今日だったんですか？」


下野「Aちゃんって少し抜けてるよね」


A「失礼です！」


紀章「そーだ、そーだ
俺の彼女に失礼だぞ、しもんぬ」


A「ちょっとｯ！！！」



いつもよりも大きな声を出したせいか、
周りの人どころか紀章さんやしもんぬ先輩も驚いていた


A「あ、すみません
何でもないです」


軽く頭を下げると、周りの人は他の人と会話したり台本を読み返した


紀章さんは笑いを堪えていて、
"面白っ"と漏らした


A「…ホント、止めてくださいよ！」


「まーた、絡まれてるね
Aちゃん」


A「こんにちは、マモ先輩」


「え〜、"マモ"でいいのにぃ〜」


＿＿＿＿＿＿＿＿＿宮野真守


イナイレの吹雪士郎や文ストの太宰治の声をしている高身長の先輩


宮野「後輩弄りはほどほどにしてくださいよ？」


紀章「Aも喜んでるから良いんだって」


A「良くないですｯ！」



下野「俺、弄ってませんよ！？」


A「しもんぬ先輩は何もしてないです
そして、僕は抜けてません！」


下野「だって、忘れてたじゃん！！！」


A「別のシーンが気になってそっちばっかり考えていたので、
忘れてただけです
抜けてる訳じゃないですからね！？」


下野「…じゃあ、そういうことにしとく」


"じゃあ"って何ですか、"じゃあ"って


宮野「そう言えば、叫んでたけど
今までにない声量だったね」


A「あー、はい」



宮野「昔、何かやってたとか？
ボイトレとか…」


A「……特に、ないですかね」


紀章「てか、折角次やるシーンのメンツ大体集まった訳だし
読み合わせしよ」


宮野「あ、いいね！」



確かに、しもんぬ先輩とは読み合わせする予定だったけど
…まさか、この二人も一緒にやることとなるとは


余計、ミスできない…


A「『そんなの、見ちゅ』………」


早々に噛んだ…


宮野「Aちゃん、サイコーｯ！」


いや、全然最高じゃないし…
笑わないで……

今すぐ、逃げ出したい

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