I、愛、哀【谷山紀章】

▽ ページ44

浪川「…ていうかさ、紀章さんに憧れてこの業界に入ったって話じゃん？」


A「はい」


浪川「紀章さんの"ここ、怖いな"って部分ないの？」


紀章「あ、それは気になる」


A「あー、ありますね
未だに"怖い"って思いますもん」


森久保「どんなところ？」


A「あの、無表情とか真剣な表情が少し怖いとは思っています」


そんなところもカッコいいのだけど


紀章「え、なんかゴメンね」


A「いや、悪くないです！
頑張って打ち込んでいるんだなぁと思いますし…！
寧ろ、この業界に入ってそういう人が多くてある意味助かっています！！」


森久保「"助かってる"って？」


A「いや、本気で部活に打ち込む人が少なかったんですよ
学生時代のときに
それが嫌すぎて……
一人で空回りしていた感じで
…でも、業界に入ってからは自分の実力が低レベルだってわかってるし
先輩方を追い越す勢いで頑張らないとなぁと思い、
色々頑張ってます、多分」


浪川「多分とは…」


紀章「いや、どう考えても頑張ってるでしょ〜」


そう突っ込まれるけど、
対してはっきり言える自信は残念ながら持ち合わせていない
持っている訳がない


花が咲き乱れ、
延長戦が終わってからも話し続けた

割と、話しやすくて、
居心地が良かったのが僕の本音である

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