狂愛方程式【3】 (ページ22)

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戦地での片付けや撤退の指揮を終えて久しぶりに帰ってきた城(いえ)

まっさきに向かうのが喫煙所というのは、我ながら風情がない

「あ、シッマお疲れ」

しかしここはどうもそんなやつらの巣窟らしく、
あろうことか陸海空の総監全員が煙たい一角に集まっていた

「なんやシャオロンもおるんけ」
「男３人て、華ないな～」
「ショッピくんおったらせめてもの若さが出んねんけどな」

大先生はなんでもないように言う
俺のせいで前線を退いたあいつ
その影響を一番受けたのはお前やろ

「大先生、」
「シッマ、それはちゃうで」

見透かしたみたいな顔をするこいつを見ると
あんなにいつもガバい大先生も軍人なんだということを思い出す
だからこいつは、信頼できる

「戦場なんか誰か死んで誰か生き残るんや
今回はショッピくんがそうやっただけ。全員が五体満足万々歳とはいかんよなぁ」
「…せやな。生きとっただけでも儲けもんか」
「お前らドライやな～。もっと心配したれや、後輩やろ」
「いちいちブレとったら国なんか守れん。」

この国の軍を背負って立つと決まってから
いや、グルッペンについていくと決めた時から
全部腹を決めている

まあでも

「…ほんま、無茶しよるわ」

仲間が傷ついて痛む心ぐらいは持っている

「でも今回めっちゃ負傷者少ないで？ぺ伸が言っとった」
「期間短かったし、相手弱かったやん」
「いや、Aちゃんやって」

大先生がいかにハッキングのデータに助けられたかを力説した
煙草を吸うのも忘れて
やれあの情報に命を救われただの
やれあの時の通信の声が可愛かっただの
空軍はA至上主義なんか？

適当に流しつつ、時たま同調しつつ話していると
シャオロンがぽつりとつぶやく

「情報戦だけで戦争が終わったり国が亡んだりする時代もくるかもしれへんなぁ」
「犠牲ゼロ、か…」

正直想像がつかん
退屈で死ぬかもしれんやん
でも、Aがヒーローになって、みんなの命を救うのは悪くない

戦争の仕方が変われば、あの後輩も海に帰ってくるかもしれない

「……悪ないな」

遠くから一発、銃声が響いた
あの方向は

「やっぱり幹部棟か」
「誰が内ゲバしてんやろ、シッマちょっかいかけにいこうぜ」
「よっしゃ行くぞ大先生！」
「ええ、僕も？」

吸い殻を灰皿に押し付けて走る
はよいかなトントンに粛清されて終わってまうからな

ショッピやゾム、珍しいAの声と武器のぶつかる音

笑いが零れた

ただいま、俺のいえ