狂愛方程式【3】 (ページ3)

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ペラ…
ペラ…

｢…？｣
『あ…、おはようございます。ショッピさん』
｢A、さ…？｣
『ショッピさんが目を覚ましました。』

耳に手をあてて、何か話している綺麗な女の人
彼女のことは知ってる、Aさんや
ロボロさんの後輩で、天才ハッカーで、俺の…

『ぼーっとしてますが、私のことは認識できるようです。意識に問題はないかと…』
｢すきです、Aさん｣
『訂正します。頭が大丈夫ではなさそうです』

俺の、好きな人

｢Aさん、ここは…｣
『城の医務室です。すぐに皆さんいらっしゃるかと。』

それだけ言うと俺が目を開けた時と同じように、椅子に脚を組んで手元の書類を捲り始める
ほんの少し耳が赤く見えるのは、俺の視界がまだぼんやりしているせいだろうか

｢ショッピ！｣

ほんまにすぐ来た。来んくてええのに

｢なんすか、チーノさん｣
｢親友の俺にかける第一声がそれって、俺の心配返せや！！｣
｢親友になった覚えがないです｣
｢なんや、ショッピ君元気そうやん｣

チーノに続いてトントンさんとエミさん、グルッペンさんが入ってくる
このメンツが集まるなんて、俺はそんな重症なんか

｢気分はどうだ、ショッピ｣
｢問題ないっす｣
｢あれ？でも先程Aさんがインカムで…｣
『…私、セキュリティルームに戻ります。オスマンさんとロボロさんだと手が足りないかも』
｢ひとらんが行っとるで｣
『…ではひとらんさんと交代してきます』
｢行かんとってくださいよ…Aさん｣

咄嗟にベットから起き上がり彼女の手を掴む
ぐらりと目眩がしたが、俺より2回り程小さい手は絶対離したくなかった

『…なんなんですか、さっきから』
｢好きです、Aさん。行かんとって｣

彼女の体温が上がるのが手の平から伝わってくる
周りではトントンさんが｢す、す…！？｣と挙動不審になって、エミさんが赤面して、チーノが｢ショッピどうしたんや！？｣と爆笑して、グルッペンさんが少し瞳を大きくしてニヤついていた

｢これはまた…、珍しいものが見れたな｣
｢すす、す…！！？？｣
｢えっと…あ……｣
｢なんやお前、ほんまにどないしてもたん！？｣

眉を顰めて指先に力がこもった、一挙一動が愛しくて
彼女と離れるのが怖くて
想いを吐き出さないと頭が破裂しそうで

｢好きなんです｣

それしか言葉が見つからない
どうなってんねん、俺

ストレートに言われることに慣れてないのか、グレーの瞳が揺れる
かわいい

でも何か、大事なものを失った気がする