狂愛方程式【3】 (ページ16)

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男の悲鳴がしゃがれてきた
喉を壊したらしい

「ん～早く教えてよ～君おもしろないから飽きてきたわ」
「Aさんはなんもしなくていいですからね、近づいたら汚れるんでそこおってください」

頬に赤色を付けたショッピさんは乾いた眼でそう言った
データでは知っていたが、拷問とはこうやるものなのか
そんな感想を抱くことは随分倫理観の壊れたことだとわかっているが、この城にいる限りそれが否定されることはない
ずっとここにいれば、そうすれば、

「きい゛たんだ！ある男に！」
「お～やっと言う気になった。誰になんて聞いたん？」
「凄腕のハッカーがいるって、裏組織の人間が教えてきた、！」
「その組織っていうのは？」
「人身売買組織だ、！国の北を拠点にしてた」
「それって俺らの潰したとこちゃいます？」
『…もう全員死んでますね』
「なんでそいつらはAちゃんのこと知ってたん？」
「しらな゛っ、ただ教えてきただけだ！」

私とゾムさんが戦争の裏で壊した組織だが、たしかに規模は大きかった
でもそこまで情報通かと聞かれるとそうとも思えない
そもそも建物の電子セキュリティも薄かったし、記録をみても取引相手はせいぜい隣国までだ
私がこの国に来たことを知っているのは軍と城の使用人の一部、それと、

『…いや、まさか』
「どうかしましたか？Aさん」
『いえ。なんでも』

フードをかぶりなおした
最近表情に出るようになったとよく言われる
だとしたら、悟られたくない。
幸いにもエーミールさん以外は向こうをつついているし

「他はなんもないんすか。そいつから聞いたの」
「、ない、あ゛あ゛っ！」
「ダウト♡ 隠し事はしちゃだめめう～」

オスマンさんが電圧を一段階上げた
体が痺れてもがくことも許されないようだった
情報によって処遇を決めるというより、あれは

「あの方は独断でグルッペンさんたちを殺そうとしたそうですし、死ぬ場所がここか幽閉地に向かう車内での事故かの違いですね。元々極刑は決まっています」

考えを読んだようにエーミールさんが微笑む

『案外ドライなんですね、エーミールさん』
「法とはそういうものです。そのうちAさんの方がウェットになるかもしれませんよ」
『そうは思えませんが』
「今後が楽しみですねえ」

クスクスと笑うエーミールさん
今日の彼は、いつもとは違う気がする

そろそろセキュリティルームに戻りたい

室外へ出ようとしたその時、足がピタリと止まった

「特殊部隊長の、話だっ！」