狂愛方程式【3】 (ページ14)

今日:19 hit、昨日:2 hit、合計:27,830 hit

114 ページ14

「そ、れは…」
「丁度４年前から情報開示規制が厳しくなっていますね、それに国家予算の使い道が不明瞭にも見えます。渾身の税政で国民の血税を集めて何にお使いになっていたのでしょう？」

エーミールさんは答えを知っている質問ばかりを投げかけている
そもそも国政や軍備関係のことは全部情報を盗ったのだから尋問する必要もないのでは？
４年前からはハッカーを育て軍備と至福を肥やしていたはずだ
彼は、何を知りたいのだろう

「じ、人材育成だ！」
「ほう、どのような人材を求められていたのです？彼女のような優秀な秘書官でしょうか？」
「貴国の秘書官は礼節というものを知らないのか？そのような服を着てフードを被るなど、無礼にもほどがあるだろう！」
「…うん、もういいでしょう。」

急激に、それこそ部屋の温度が下がったと感じるくらいに、エーミールさんの声が冷たくなった。声だけではなく、目つきや表情までも

「突然話の引き合いに出してしまってすみませんでした、Aさん。」
『いえ。』
「な、なんなんだ！？私の処遇を決める尋問だろう！？もっとわかるように話したまえ！」
「処遇を決める尋問だとわかっていてその態度とは、愚かしいですね。彼女は私の秘書官ではありません、その程度の役職では勿体ない。」
「何を言って…？」
「ご存知のはずですよ、わざわざ彼女用のウイルスまで作っておいて知らないはずないですよね？」

男の目が見開かれるのを見てエーミールさんの目的を理解した
私の存在がどの程度バレているのか、確かめたかったのだろう
だからわざわざ同席させ、相手の反応をうかがった
この様子だと私の外見はおろか性別もわかっていなかったようだ

「しかし不思議ですね、ここに来て間もない彼女のことをどこでお知りになったんです？大層な警戒までして」
「…」
「黙秘ですか。ではこれで失礼させていただきます。あなたの今後を決めて参りますので少々お待ちください」

生気の抜けた顔でうつむく元首相を放置してエーミールさんと退出した

「思ったより情報がバレていなくて安心しました」
『やはりそういう目的で』
「付き合わせてしまってすみません、でも確認しておきたくて」
『…ありがとうございます、私のために』

こんなことまで気にしてくれるなんて思っていなかったから
素直に有難く思った

私の言葉を聞いたエーミールさんは口角を上げ、白銀の瞳を細めてこう言った

「ああ、あなたは本当に可愛らしい方ですね」