狂愛方程式【3】 (ページ2)

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Aが銃を構えるやつの喉を掻っ切れば、俺はライフルで狙ってくるやつの心臓にナイフを投げる

銃火器が発達したこの時代に、暗殺者の美学と皮肉交じりに言われることも多いナイフを操る俺と双剣を扱うA
これはもう運命と捉えてええやろ

｢チッ、眩しいなぁあれ｣
『わざと私達の目元にあてられてますからね』

ロボロのハッキングによって建物内の照明は全て消えている
ただ流石人攫い組織の総本山というか、よく鍛えられたやつが多くて
慌てず懐中電灯とかごっついライトとか持ち出してきよった

｢拳銃なんか使いよったら眩しくて狙えんところやわ！｣

わらわら出てくるやつらに駆け寄り刃を振るう
正面から突っ込んでいるので防がれて、人数有利に持ち込まれる

『…』

だからこいつらは気付いてない
本気で気配を消したAが、後ろに回っていることに

｢がっ、！？｣
｢ゔ…｣

｢双剣ってええな、やっぱカッコええ｣
『ゾムさんも両手にナイフ持ってるでしょう』
｢双剣は二刀流やん？俺は1本を2つ使ってるんや｣
『よくわかりませんが、さっさと進みましょう。』

薬の在処の目星は付いてる
そっちに進むに連れて、敵に遭遇する頻度も増える

『邪魔』と一言呟いて一閃の剣筋と共に足を止めることなく進むA
彼女が通り過ぎた後には、血を流すだけの肉塊が横たわっていた

ああ、やっぱり綺麗や
洗練された剣技も
返り血を浴びた頬も
笑った唇も
楽しんでいる、その瞳も

『これは…』

あるはずの場所に、目的の薬品はなかった
俺は踵を返して、まだ息のあるやつを引きずってくる

｢なぁ、ここにあった薬は？｣
｢なんの、ことだ、｣
｢なんか記憶をどうこうできるらしいんやけど、自分知らん？｣
｢知ら、ない…っあ゛あ゛！！｣
｢そうかー知らんのかー。ほんなら今から傷口どんどん広げていくけど、我慢しいや？｣
｢や、やめ、いだっぁあ゛、言う！言い゛まず！｣
｢ん？知らんのちゃうん？｣
｢薬は、3日前に、売ったやつが持って帰った！ボスが買値より多く戻ってきたって、自慢を！｣
｢ボスって、あのイカついチンピラみたいなやつか？｣
『…そういえばデータよりも随分金回りが良さそうでしたね』
｢なんや。じゃあ薬ないんやん。帰ろか、飽きたし｣

手元の男を楽にして、出口を目指す
俺と同じ色に染まったAは、やっぱり綺麗やった

｢愛しとるで、A｣

今すぐ押し倒して、血溜まりの中で交わりたいぐらいには

それは、聞こえないひとりごと