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「俺だろ?」
「いや俺やろ!?」
「俺じゃない?」
私に迫ってくる3つの整った顔
なぜこんなことになってしまったのか
事の発端は数分前、グルッペン様が発した「いいやんけ俺のもんやろ」という彼にしては珍しく訛った言葉だ。キスしてもいいだろうという意味だと思うが、私が横に首を振るより早く入ってきたのが同室にいるお2人だ
「流石に好きじゃない人とするのは可哀想でしょ」
「あと俺のもんってか、猫やなかったん?猫にそんな手ぇ出す?」
「うるさいお前らは黙ってろ」
「Aちゃん好きな人とかいないの?それ理由に断りなよ」
好きな人なんて、生まれてこのかた出来たことがないし、そういう感情もよくわからない
「いやいや何言うてんねん!Aの好きな人は俺やろ!」
「は?いやAは俺だろ」
「なんで2人とも自信満々なわけ?」
とこんなかんじで話は捻れ、今まさに「結婚するならこの3人のうち誰がいい」という質問の答えを迫られている
結婚なんて、もっと考えたことないです……
『ひとらんさん、ですかね…?』
「「はぁ!?」」
「なんで疑問形?」
『いえ、結婚とか考えたことなかったので…』
「おいA、なぜこいつなんだ」
『優しいですし…お花に詳しかったり、色々教えてもらえるので……』
結婚理由とは程遠い答えを返す私に選ばれなかった2人は益々不満を募らせる
そして一方のひとらんさんは
「悪いね、2人とも。まあ結婚式には呼んであげるから」
珍しく煽っていた。勘違いじゃないと思うけどだいぶ嬉しそうだ。冗談でも喜んでくれるのは嬉しい。
煽られた2人との抗争が激化してきたので私はそっと部屋を出た。あまり考えてないとはいえ結婚とか好きな人とか、そういう話に免疫がない。暑くなった頬を冷ましながら廊下を歩く。図書室への道は人目があるので断念して、総統室から近い場所にある部屋の扉の前へ立った
コンコンコン、と3回ノックをして、折角ならお菓子でも用意してくればよかったと後悔する。ああ、でもあの人には食べる暇なんてないだろうか
「どうぞ」
『Aです、失礼します』
ノックをしておきながら名乗ってないことを思い出し付け加えるように名前を告げると「Aちゃん!?」と焦ったような声が中から聞こえる
とりあえず扉を開けると、
『…コンタクトですか?』
いつもの眼鏡を机に置いたトントンさんがいた
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フェルト - 伏線回収が神!うらつくで稀に見るほんとうの鬼才のお方ですね!最高です! (2019年9月14日 10時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
RaZu@らず(プロフ) - 伏線回収が…!ありがとうございます、わかりやすいです…これからも更新楽しみに待っております! (2019年9月6日 19時) (レス) id: a4ef94e121 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの子(プロフ) - 前作からの伏線がどんどん回収されてくのドキドキします…これからも更新楽しみにしております。 (2019年8月31日 7時) (レス) id: 54ffec1f7f (このIDを非表示/違反報告)
RaZu@らず(プロフ) - 嫉妬する総統さまが…!!!最高です……!!!!!!ありがとうございます…!!!!!!!!!!!! (2019年8月27日 15時) (レス) id: a4ef94e121 (このIDを非表示/違反報告)
琉兎(プロフ) - 主ちゃん可愛すぎっ!惚れてまう!!続きが気になるんじゃぁ!!!更新頑張って下さい、楽しみにしてます!! (2019年8月24日 17時) (レス) id: 3584f7d8aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レック | 作成日時:2019年8月18日 3時