足りない言葉は風にきけ１【リヴァイ】 (ページ34)

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……SIDE IS リヴァイ……

2階に上がると、扉が4つあった。

フ「そこがトイレで、そことそこは荷物部屋になっておるでの。その角っこの部屋が広々と使えるはずじゃ」

後ろから階段を上がってきたフォルカーが説明する。

「ここですね」

ガチャ。

先に進んでいたAが、素早くフォルカーの示した部屋を開ける。

遠慮がない。

フ「好きなだけゆっくりしていくといい」

そう言って、フォルカーはまた階段を下りて行った。

彼の言葉と表情には、『そうしてくれ』と言わんばかりの感情が込められている気がした。

来客自体、あまりない事かもしれない。

「わぁ･･･素敵な部屋」

部屋の中からAの声がした。

その声につられて部屋の中をチェックする。

室内は、まるで昨日まで誰かが住んでいてもおかしくないと思えるほど、手入れが行き届いていた。

リ「確かに、きれいにされてある」

この部屋なら、落ち着いてくつろげる。

あとは風呂に入れたら最高なのだが･･･

ついそんなことを考えてしまう。

荷物を置き、すぐ横のベッドへ腰かける。

この部屋にも窓が備え付けられているが、1階とは違い、出窓のような形状になっている。

「この出窓、なんか素敵･･･」

Aは出窓の下に置かれたソファーベンチにもたれかかり、出窓のサンにひじをかけて外を眺めている。

確かに、凝った造りの出窓だ。

月の美しい夜にはここでそれを眺めていたくなるような、そんな優雅な想像が似合う。

「ここ、きれいな月が見れそうだね････」

独り言のように言うAに、オレは一瞬心を読まれたのかと思った。

だがAは、オレが聞いていてもいなくても気にしないといった様子で、ぼんやりと雨の景色を眺めている。

たまたまか。

焦った。

本当に変わった女だ。

今朝見せたあの覚悟のまなざしと、今ここで見せている姿とでは、まるで別人だ。

あの丘で見たAは堅い岩のようだったが、ここにいるAはやわらかさと温かみを持った、ただの･････フツーの･･･、女･･･

その時ふいに、イザークの顔が浮かんだ。

お互いに自分の家族を作っても、なんらおかしくない年齢だ。

イザークは、Aを何も言わず送り出したのか････？

いや････オレがそんなことを気にしても仕方ない。

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