足りない言葉は風にきけ１【リヴァイ】 (ページ29)

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……SIDE IS リヴァイ……

リ「勝手にイメージを作るな」

「想像は自由」

リ「オレの前で妙な妄想を口走るな」

「雨、まだやみそうにないね」

リ「････････」

急に話題を変えられ、オレは口を閉ざした。

これ以上、調子を狂わされるのはしゃくだ。

Aは湯気の立つカップを両手で包み、コーヒーに息を吹きかけ冷ましている。

チッ、ほんとに落ち着かねぇ、この感じ･･･イラつく。

窓の外に目をやると、さっきからの雨は変わらず、じゃじゃ降りのままだ。

老人がキッチンから戻り、タオルを2枚テーブルに置いた。

家主「これで身体をふきなされ、気づくのが遅くてすまんの･･･家人がいないでな。家のことは中々気が回らん」

家人･･･この老人夫人のことか。

白いひげにかくれた口元は、笑っているのかそうでないのかわからなかった。

A「ありがとうございます」

Aは、結わえていた髪をほどいて頭を拭きだした。

「リヴァイ、はい」

手を出そうとしないオレに気づき、Aがこちらへタオルを差し出す。

オレは無言で受け取り、ぬれた首や肩にタオルを当てた。

「突然すみません。ホントに助かりました。あたしはAです」

頭を拭いていた手をひざに下ろし、Aが老人に話しかける。

家主「Aさんか。わしはフォルカーという。ここで1人で暮らしておる」

フォルカーはAとオレを見ながら話した。

リ「リヴァイだ。雨がやんだらすぐに発つ。それまで邪魔をするが許してほしい」

男が1人で暮らす虚しさを感じ、それはオレに育ての親であるケニーを思い出させた。

見た目は全然違うのだが。

「フォルカーさん、あの写真、見せてもらっていいですか？」

Aが、目ざとく見つけた本棚の写真立てを指さした。

フ「･･･ああ･･･、見てやってくれ」

その言い草で、オレは直感した。

フォルカーの家族はもう帰ってこないと････

本棚へ近づき、Aは写真立てを手にとり、意外にすぐにテーブルへ戻ってきた。

「いいお写真」

Aは静かにそう言ってフォルカーに微笑み、

「ごちそうさまでした」

とカップを手にしてそのままキッチンへ消えていった。

フ「やさしい娘さんじゃ･･･」

フォルカーは満足そうに目を閉じた。

*