足りない言葉は風にきけ１【リヴァイ】 (ページ22)

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イ「まぁ、ユッタもだいぶ料理うまくなったしな。もうAに教わることもそうないだろ。大丈夫だよ、ユッタ。おれらがいんだろ？」

ユ「そういう問題？」

イザークを軽くにらみ、それからユッタは自分の栗色の髪をつかんで、あたしを見た。

ユ「Aさん。この髪は、これから誰がくくってくれるの？馬たちは、誰が観察するの？あたしが風邪ひいたら、誰がご飯を」

イ「ユッタ、やめろ。･･･Aを責めるな」

ユ「責めてるわけじゃ･･･」

「ユッタの言う通りよね、あたし無責任なこと言ってる。みんなにひどいことしようとしてる････」

イ「待て。おれたちは、家族だ。違うのか？」

ユ「そうだよ。家族だよ。なのに」

イ「なのにここへ縛り付けておくのか？お前は嫁に行かず、ここで一生暮らせと言われてそうすんのか？家族なら、家族の旅立ちに『はなむけの言葉』をかけたくねぇか」

ユッタは黙りこんでしまった。

イ「おれだって、まだ戸惑ってる」

急すぎるよね、いくらなんでも。

あたしもそう思う。

だけど、このチャンスを逃したら、もう････

イ「けど･･･もともとは何のつながりもないおれたちだ。何のつながりもない人間が、とやかく言える話かどうか････家族だろうが、他人だろうが、自分の生き方を決めることに、誰も責めたり、束縛したりはできねぇって思わねえか」

優しい声で、イザークはユッタに語りかける。

イ「しかもさ････ユッタ････Aは、人類のために戦う兵団で、おれたちを････みんなの命を････守ろうってんだぜ。馬の面倒みるくらい、明日からおれが変わってやるって」

ユッタ････

イザーク････

2人の想いの温かさがたまらなく愛しい･･･

ごめんね･････

ユ「あ････えっ･･･Aさん？泣いてる･･･」

イ「うわっ････お前いい加減にしろよユッタ。なに泣かせてんだよ！」

あたしが初めて見せる涙に、2人が動揺してる。

ユ「あたしじゃないし！イザークだし！」

「ごめん･･･引き止めたいって思ってくれるのも、行けって言ってくれるのも、嬉しいの。あたし、それくらいにちゃんと家族できてたんだって、思えて」

ユ「Aさん･････」

「ごめん、ユッタ･･･イザーク････」

あたしとユッタは、そのあと、これでもかってくらい、泣いた。

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