足りない言葉は風にきけ１【リヴァイ】 (ページ17)

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躾が得意･････どういう意味？

ホント変わってるな。

「･････考える時間をもらうわ。その前に･･･」

リ「なんだ」

「もし、あたしを連れて帰ったときに団長の承諾が得られなかったら･･･？」

リ「その心配はない。おれは一度約束させたことは必ず守らせる主義だ。それが団長であってもな」

じゃあ、あたしの、決心次第ってこと･･･よね･･

リ「オレももう1つ聞く。イザークとお前は･･････年はいくつだ」

「イザークは29。あたしは24･･････なに？」

リ「いや･････。一晩で決めてくれ。兵団にも時間の猶予はそうない」

「わかった」

リ「明日の朝、ここで待つ」

リヴァイは、そう言って暗闇の景色の中に消えていった。

*

ザァァァァァァッ

風が、また一段と強くなる。

夜になったばかりの空を見上げて、星を探す。

遠く、黒に限りなく近い群青の空の中に、きらめく小さな星を見つけ、話しかける。

ねぇ、お姉ちゃん。

そこで少し聞いて。

あたしの夢につながる道が、戻ってきたよ。

そこにはあの人がいるけど、あたし、会いに行ってもいい･･･？

ねぇ････いい･･･？

お姉ちゃんは、あたしが兵団を去る3ヶ月前に心臓の病気で死んだ。

お姉ちゃんは･･･エルヴィンと結婚するはずだった。

心臓の病気も、治るはずだった。

だからあたしは兵団では上司として、プライベートでは兄のようにエルヴィンを慕い、2人を祝福していた。

でも･･･

お姉ちゃんの体は、心臓移植の手術を受けたあと拒否反応を起こし、そのまま、帰らぬ人になった。

今思えば、エルヴィンはお姉ちゃんの肉親であるあたしを、自分のそばに置いておくのがたまらなく辛かったんだろう。

エルヴィンの目には、あたしというフィルターの向こうに、ハッキリとお姉ちゃんが見えていたんだろう。

あたしも、クビにさせられたと言いながら、結局は逃げたんだ。

悲しみにあふれたエルヴィンを見るのが、たまらなく辛かった･･･

空に映す、心に生きる人の笑顔。

でも･･･

いくら星を見つめても、いくら風の音に耳を澄ませても、星も風も黙ったままだ。

なんの言葉も聞こえない。

やっぱり、自分の胸に探すしかない。

本当の答えは、自分以外のどこにもない。

あたしは、ゆっくりと小屋のほうへ足を向けた。

*