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すぐにエルヴィンの目が、やさしく微笑んだ。



エ「すまないな。正直に話しすぎた」





『私−A−の姉であるマルレーンは、

 調査兵団 団長である

 エルヴィン・スミスの

 婚約者であったことを証明する。


  850年 A』





なんの効力もない、ままごとみたいな証明書。



それでも、エルヴィンの心にちゃんとお姉ちゃんが刻まれて、愛し愛され続けて行くのなら・・・



「いくらでも書くよ」



もし今日、あたしがここに戻って来られなくても、この紙が証明してくれるよね・・・?



「エルヴィンの創り出した妄想だったら、こんなものは残らない。妄想なんかじゃない。お姉ちゃんは本当にいたし、本当にエルヴィンを愛してた」



エルヴィン、忘れないで。

忘れようとしないで。

思い出に負けそうになる気持ちにエールを送り続けて。



大切な人をなくして背負う孤独を、孤独のままにしないで。



エ「・・・心強い証明書だ。これは死ぬまで保管しよう。・・・さ、気持ちを切り替える時間だ」



エルヴィンは椅子から立ち上がり、すぐ後ろの窓のほう向いた。



エ「いい天気だ。作戦通り進めよう」

「・・・了解」



あたしはエルヴィンの背中を見つめた。





あの日震えていた、背中。


あの大き過ぎる悲しみには触れられなかった。





孤独が、孤独のままで泣いていた。





でもわかった。

あたしはリヴァイの孤独と出会ってわかった。






孤独は、強さに変わる。

孤独は、仲間を大切する気持ちになる。

孤独は、生き方を教えてくれる。







孤独は孤独で終わらない。

自分の力となる何かに変わり、自分の中に眠る。

時々目を覚まして現れてはあたしたちに暗闇と光をもたらす。




闇と光。

それはいつでも表裏一体だ。



裏のない表などない。

表のない裏も。




どんなことにも光の面と闇の面が存在する。

どちらも否定できない。

誰も否定できない。




あたしたちは孤独と一緒にその両面を抱きしめてゆく。








エルヴィンの真っ直ぐな背中に向かい、あたしは敬礼をした。


トン・・・


兵服の左胸が小さく音を立てる。






窓の外の澄んだ空へと思いを馳せながら、もう気持ちの切り替えに入っているエルヴィンの邪魔をしないよう、あたしは静かに団長室の扉を閉めた。





*

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ico(プロフ) - カレンさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!励みを頂き力が湧きます!頑張ります! (2018年6月20日 15時) (レス) id: ba96530b2c (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - とっても面白いです!これからも頑張って下さい! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 5dabf5f2d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ico | 作成日時:2018年6月9日 14時

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