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……SIDE IS リヴァイ……
「わかった・・・」
タイミングの遅い返事をよこして、Aはフッ・・・と安堵をもらしたようなため息を吐いた。
「リヴァイがそう言うこと、なんとなくわかってた気がする。わかっててあたし、話したんだと思う。否定して欲しくて話すなんて・・・なんかおかしいよね」
リ「いや、それでいい。お前が確かめに行くと言って聞かなかったら、オレは力づくで止めていた。お前の働かせた自制心は正しい」
「でも、どこかホッとしてる自分が情けなく感じたよ」
Aは苦笑いを浮かべてうつむき、椅子の上に立てた膝を両手でくるんだ。
リ「壁外を前にしてナーバスになってるってことだろ。悪いことじゃねぇ。気持ちを固めておけ」
「うん・・・・」
リ「だがスルーできる話じゃねぇことは確かだ」
「明日、敵も一緒に行動してるかもしれないよね・・・確証はまだないけど・・・」
リ「明日の朝、ここを出る前にエルヴィンの耳に入れておけ」
「わかった」
チッ・・・
壁外の前日くらいおとなしくしてやがれ・・・
お前らの尻尾は近々必ずつかんでやる。
まずは明日・・・1匹目を捕まえる。
「リヴァイ」
Aに呼ばれ、思考が
リ「なんだ」
「そっちに行ってもいい・・・?」
リ「いいも何もお前の寝る場所はここだろうが」
ベッドの上の掛け布団をはがして『ここ』を示してやると、Aは照れながら顔をほころばせた。
嬉しそうな顔をしたまま、ベッドへ上がる。
Aのそんな表情にいちいちたまらなくなる自分が時々気持ち悪いが、それ以上に、どうしても消すことの出来ない愛しさがどんどんと大きくなってしまっている。
ギシ・・・
抱き寄せたAの体。
やわらかく、甘く、オレの五感に眩しさを運んでくる。
それを幸福と呼ぶことを、オレは最近知った。
A・・・
明日もこんな風にお前の温もりを感じたい。
無事にオレのもとへ帰れ・・・
どんなに心の中でわがままを並べてみても、過酷な明日は否応なく来てオレたちを非情な兵士にしてしまう。
戦場では目の前の敵を斬ることが最優先だ。
大事な人間の安否は、最後になっちまう。
だが・・・
知性のある巨人だか何だか知らねぇが、オレは必ず仕留める。
オレは必ず、こうしてAを抱きしめる明日を迎えてやる。
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ico(プロフ) - カレンさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!励みを頂き力が湧きます!頑張ります! (2018年6月20日 15時) (レス) id: ba96530b2c (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - とっても面白いです!これからも頑張って下さい! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 5dabf5f2d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ico | 作成日時:2018年6月9日 14時