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『死んでたからな』
あの時の感情のない言葉・・・
リヴァイがそんな言い方をする理由が、わからないわけじゃない。
仲間の死の受け入れ方を、彼は知っている。
ここで情を披露することも、彼らの死を
彼に課せられた悲しみ方は、血も涙もない非情な言葉を吐いて、
それに対して周りから浴びせられる恨み言を聞いて、
奥の歯を食いしばって後悔に耐えて、それを次の戦いの糧にする・・・
彼はそうやって調査兵団の進む道を拓いて来たんだと、あたしはわかってる。
だから・・・あたしは彼に悔しさをぶつけるべきだった。
彼の悲しみ方に添って、何かを叫ぶべきだった。
でもそれすらできないほど、あたしの悲しみは大きかった。
彼らの存在も、悲しみが作り出した心の
そして何より彼らは・・・
「優しかった・・・」
ここに戻った頃、心細かったあたしをすぐに受け入れてくれた時も、イルゼのことで気持ちを塞いでいた時も、エレンを見守る眼差しも、いつも、いつも・・・・
「みんな、強くて優しかった・・・」
ストールの向こう側にいるリヴァイに、確かめるようにあたしは言った。
リ「アイツらは・・・エルヴィンの言葉通り、エレンを死守した。一番危険な場所で、一番責任の重い、一番重要な任務を果たした。最高の兵士たちだ」
過大評価なんかじゃない、リヴァイの言葉。
それは真実。
彼らが素晴らしかったという真実。
だけど彼らはもういないという真実。
それらの真実は、閉じ込めて膨らんでいたあたしの感情を解き放った。
「・・ッ、・・・・ッッ、・・・・・・ッ・・・」
枯れることを知らない涙が、目に当てた布を湿らせていく。
ペ『人類の希望、確かにバトンタッチしたよ』
ペトラ・・・!
パサ・・・
聞き覚えのある声に頭の布をはいで、夜空の中にその声を探した。
幻想がそうさせるのだとしても、それでいい。
下らないと誰かに言われても、全然いい。
あたしは、ペトラを知ってる。
彼女が凛とした笑みをたたえながら言いそうな言葉を、想像できる。
それが、あたしの財産だ。
今、わかった。
彼らと出会ったことの意味、価値、それはあたしがどれだけ彼らの『らしさ』を知っているか。
そういうことのような気が、・・・した。
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ico(プロフ) - カレンさん» 嬉しいご感想ありがとうございます!励みを頂き力が湧きます!頑張ります! (2018年6月20日 15時) (レス) id: ba96530b2c (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - とっても面白いです!これからも頑張って下さい! (2018年6月17日 23時) (レス) id: 5dabf5f2d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ico | 作成日時:2018年6月9日 14時