Lv.3 兵長のぬくもり ページ3
リヴァイ「おい」
力の抜けた私に気づき、兵長が私のほほをはたく。
リヴァイ「A、A。しっかりしろ。毒ぬきをしておいた。このまま壁外調査からいったん・・・！チッ。他のやつらの時間稼ぎがもう限界のようだ」
うつろな意識のまま、兵長の見ている視線を追うと、遠くにギブアップを示す煙弾があがっていた。
リヴァイ「おれの上着を着ておけ」
私から目をそらしたまま、リヴァイ兵長がこちらに上着を投げる。
なんにも、気づかれてない・・
きっと毒のせいだと思われているんだろう。
リヴァイ「いいか。意識のある限り馬を走らせろ。全力でだ。壁の中に入った瞬間に意識を失え」
もう・・なんてめちゃくちゃな・・・
でも、私は知ってる。
リヴァイ兵長がめちゃくちゃなことを口走る時は、そこに優しさを隠してる時。
A「・・了解です」
リヴァイ「A、行けるな？おれはおまえを失うわけにはいかない。・・絶対にだ。必ずたどり着け、いいな」
ほら・・・
私は、こくりとうなづいた。
兵長に支えられながらなんとか馬にまたがり、走る準備を整える。
A「兵長・・・」
リヴァイ「なんだ」
A「兵長のハンカチ、あとで洗わせてください」
兵長が一瞬の間をおいて、フッと笑う。
このあきれたような、ちょっと気を許したような笑顔が何よりも愛しい。
リヴァイ「こんな時にそういうことが言えるタフなおまえが必要だ。絶対に生きろ」
私は、力の入らない笑顔を返す。
リヴァイ「時間がない。行くぞ！壁につくまでおれをしっかり見てろ！」
A「・・はい！」
私は、手綱を握りなおし、重くなり出すまぶたを力のかぎりに見開き、リヴァイ兵長の背中を追った。
絶対にたどり着く。
兵長は私を信じて、馬に乗せた。
それに、ちゃんと応えたい。
リヴァイ兵長・・・
ずっとずっと追いかけていた愛しい後ろ姿。
今では当たり前のこの光景を、私はこの先もずっと見ていたい・・・
ふと馬を走らせる風の中で、兵長のにおいがした。
そうか、この上着だ。
兵長の上着から血のにおいと石けんの香りがする。
A「兵長・・・」
薄れていく意識の中で、上着のぬくもりを頼りに必死で手綱をにぎっていた。
何度も兵長の名をつぶやきながら・・・
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ico(プロフ) - ああさん» コメントありがとうございます。おっしゃる通りです。ハンジさんの言葉によって、自分の進む先を見出したんですよね。オトナの切ない恋愛…リヴァイとしてみたいです笑 (10月10日 11時) (
レス) id: d2213b78f9 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - 感動しました 夢の中のハンジさんの言葉があったからこれから進んでいけるのかなって思いました。オトナの恋愛って感じの切なさがなんか好きです、、、 (10月5日 10時) (レス) @page23 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
ico(プロフ) - みたらし団子バカさん» こんばんは！悲恋が大好物とのこと、お口に合ってよかったです！わぉ毎日！？大歓迎です！ありがとうございます！！ (2018年9月22日 22時) (レス) id: ba96530b2c (このIDを非表示/違反報告)
みたらし団子バカ - オトナの悲しい恋愛ですね！こういう手の悲恋は大好物です！毎日伺います！ (2018年9月22日 10時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
ico(プロフ) - リヴァイ=神谷さん大好き♪さん» はじめまして！感動して下さる方がいることに感動しちゃいました。嬉しいです！感受性が豊かな読者さま、大好きです！私も兵長の台詞を胸に前進します！ありがとうございます！ (2018年2月19日 15時) (レス) id: ba96530b2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ico | 作成日時：2017年7月3日 14時
