第31話〜温かい〜 ページ34
珱sibe
「ちょっとここで休もっか」
空が群青色に染まり、光が差し始めると颯天は私の背中を押して、洞窟に入った。
静か。
その時。
ぎゅ〜くるくるくる。
私の腹の虫が鳴いた。
颯天は数秒目を丸くして固まった後、笑い出す。
「え？今の珱………ちゃんのお腹？ふふっ、お腹空いた？」
唇を尖らせ拗ねながらも頷く。
颯天は私の頭を優しく撫でると
「待っててね」
そう囁いて洞窟を出ていった。
アイツ……顔だけは良いのに。
そんな事を考えながらも、疲れの為か、睡魔が襲って来た。
横になり、目蓋を閉じる。
蘇って来るのは良い思い出ばかりだ。
私は静かに微笑みながら意識をそっと手放した。
「………ん？」
お腹が空いて、目が覚めた。
外が明るい。
しばらく考えた後、頭のぼんやりが覚めると思い出した。
慌てて辺りを見回すと
「おはよう、良く眠れた？」
洞窟の奥から颯天が歩いて来る。
そして私の手に、ぬめりと輝く緋色の液体が入った瓶を私に渡した。
コルクを開ける。
鉄の錆びた匂いがして、私は瓶を傾けた。
身体中に熱が灯る。
ぱあっと自分の頬が薔薇色になるのを感じながら疑問に思っていた事を聞いて見た。
「私、貴方の事なんて呼べば良い？」
颯天は目をぱちくりさせている。
「………え？颯天で良いけど……君は？」
私は数秒考えて口にした。
「……失礼な事以外だったら何でも良い」
ふはっ、と颯天が笑う。
以外にも声を出して笑うんだな、と思った。
颯天が自分で自分を指す。
「何？僕今まで失礼だった？」
その言葉に私は颯天の頬をつねる。
自覚をしなさい！自覚を！！
へらへらと笑う颯天はへらへらしたまま痛がった。
「酷いなぁ〜、じゃあ僕は珱ちゃんって呼ぶよ、嫌だったら教えて」
微笑むと私に毛布を渡す。
どうやら「夜まで寝なさい」と言う事らしい。
再び横になり、笑った。
「おやすみ、颯天、ありがとう」
風が歌う音。
星が落ちる音。
人々の囁き。
生命の息吹。
全てが鮮明に聞こえる気がした。
彼は近いのだろうか。
王は彼の事を知っているのだろうか。
そう色々考えながら、私は眠りに付く。
出会ってばかりの、貴方の体温を感じながら。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ロリコンサンダー（仮） - うらみん PC垢さん» すみません！携帯とか成績とか精神が壊れていたせいで、更新が止まってしまい申し訳ございません。 (2019年11月25日 17時) (
レス) id: 726db12174 (このIDを非表示/違反報告)
うらみん PC垢 - 更新楽しみに待ってます (2019年10月25日 20時) (レス) id: 57acaff2a1 (このIDを非表示/違反報告)
ロリコンサンダー - アエルさん» ありがとうございます……わ、わたしも……ポッ←すみませんwそういって頂けて嬉しいです！ (2019年9月12日 18時) (レス) id: 6a276d2734 (このIDを非表示/違反報告)
ロリコンサンダー - しーずんぺろ子さん» そっ、それなぁ！？あ、ありがとうございます………(照) (2019年9月12日 18時) (レス) id: 6a276d2734 (このIDを非表示/違反報告)
ロリコンサンダー - べのむさん» え、えええええええええぇぇええええ！？！？！？！？ありがとうございますぅううう？？？ (2019年9月12日 18時) (レス) id: 6a276d2734 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：莉愛&ロリコンサンダー | 作者ホームページ：http:
作成日時：2018年12月29日 11時
