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デート当日。三ツ谷は集合時間よりも三十分早く駅前に着いた。流石にまだ羽鳥の姿は無い。
分かりやすいように大きな時計塔の前に立ち、羽鳥を待つ。長ければ三十分程の待ち時間。しかし三ツ谷には、全く苦ではなかった。
デートは待っている時間も楽しい。なんてどこかの雑誌が言っていたが、それは本当の事だったんだなと考える。
これから私服の羽鳥に会えると考えるだけで、三ツ谷の心は一足先に浮き足立った。好きな子の私服というのは、それだけで価値があるのだ。
十分、二十分と経過して、三ツ谷にとってはコンマ数秒程の時間が過ぎた。何気なく携帯で時間を確認すると、既に集合時刻が五分前に迫ってきている。
もしかしたらそろそろ来るかもしれない。三ツ谷は意味もなく服の襟首を正した。そんな時だった。
「あのぅ、お兄さん一人ですか？」
不意に、知らない声に話しかけられる。濃いバニラの香りが肺に入り込む。あまりの匂いにごほりと少しむせた。
三ツ谷の前には、派手な容姿の女性が二人立っていた。何かに期待するように目を輝かせ、三ツ谷を見上げている。三ツ谷より少し背の低い、しかし随分と歳上そうな女性だった。
「いえ、人を待っているので」
「お友達ですかぁ？ その人も一緒でいいので、遊びませんか？」
テンプレ通りのナンパだ。くねりと体を揺らして、三ツ谷の答えを待っている。しかし残念ながら、三ツ谷の待ち人はつい先日友達から恋人にランクアップしたばかり。口から出るのは、変わらず否定の言葉のみだ。
「すみません、遠慮しておきます」
「じゃあ、ご飯だけでも！」
それは結局遊ぶ、ということに含まれるのでは……？ そう思いながらも、諦めの悪い二人組に頭を抱える。
あまり強い言葉を使いたくはなかった。他人だとしても、二人は女性だ。
しかしこのまま付き纏われては困る。今日は初デート、記念すべき日なのだから。
三ツ谷は少し強めに言い返そうと、再度口を開いた。しかしそれも、腕を包んだ柔らかな感触に気を取られ、意味もなく空気を吐き出すだけに終わった。
「隆くん、お待たせ」
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綾鷹(プロフ) - どハマり中の作品！更新頑張ってください！！応援してます！！！ (2021年8月17日 12時) (
レス) id: 1e5c1477e1 (このIDを非表示/違反報告)
おかかのおにぎり(プロフ) - 初コメ失礼致します。すごく素敵な作品に出会えて大感激です…！三ツ谷のかっこよさと可愛さが全面に押し出されててめっちゃ好きです、、、これからも更新応援してます！ (2021年8月17日 8時) (レス) id: bb984743a2 (このIDを非表示/違反報告)
まつあい(プロフ) - めちゃくちゃ好きです…泣 (2021年8月17日 5時) (レス) id: 616babd1d8 (このIDを非表示/違反報告)
愛月咲良(プロフ) - この作品に会えた事を感謝します… (2021年8月17日 4時) (レス) id: 4a6d894003 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの？私バカなの？((((喧しいわ (2021年8月17日 1時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：金蔓ゆるり | 作成日時：2021年8月16日 5時
