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「……え?」
「そんな事だけで、わたしを好きになったの? ありえない。わたしがすぐにヤらせてくれるって、周りの男の子達に聞いたんでしょ。」
三ツ谷は恐る恐る、ほんの少し、顔を上げた。問い詰めるような羽鳥の口調に、変わった雰囲気に少しだけ戦いて、顔色を伺うように正座のままの羽鳥を見上げた。
しかし羽鳥は、先程とは何も変わらない、きょとんとした愛らしい表情のまま、真っ直ぐ三ツ谷を見つめていた。怒っている様子はない。寧ろ、本気で三ツ谷の言っている事がわからなそうな、いっそ三ツ谷を心配しているようなそんな表情だ。
「……わたし、隆くんのこと好きだよ。だからね、そんな事言わなくたって、シたいならいつでもシてあげる。隆くんになら、酷いことされたっていいよ。」
正座をといた羽鳥が、はにかむように微笑んで三ツ谷に一歩近づいた。そのまま体を小さく丸めた三ツ谷の背に手を回し、そっと抱き締める。三ツ谷の顔が、豊満なバストに埋まった。
しかし三ツ谷には、胸の感触を堪能しているような心の余裕が無かった。三ツ谷の必死の吐露ですら、羽鳥には届かなかった。
言いようも無い、何となく気味の悪い感覚がある。三ツ谷と羽鳥の中で何かがすれ違っているのでは無く、そもそも羽鳥の中で、何かが少しおかしくなってしまっているような、そんな気がする。
「……Aはさ、」
「うん、なぁに」
こんな事はありえない。そう思いながらも、胸の中の疑惑はほぼ確信に変わっていた。
「自分の価値は体しかないって、思ってる?」
「……うん、あたりまえでしょ?」
その言葉を聞いた瞬間、三ツ谷は強く羽鳥を抱き締め返した。羽鳥の小さな頭を胸に掻き抱いて、決して離れないように、強く。
「ンなわけ、ねぇだろ……!」
今度は羽鳥が、息を飲む番だった。
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綾鷹(プロフ) - どハマり中の作品!更新頑張ってください!!応援してます!!! (2021年8月17日 12時) (レス) id: 1e5c1477e1 (このIDを非表示/違反報告)
おかかのおにぎり(プロフ) - 初コメ失礼致します。すごく素敵な作品に出会えて大感激です…!三ツ谷のかっこよさと可愛さが全面に押し出されててめっちゃ好きです、、、これからも更新応援してます! (2021年8月17日 8時) (レス) id: bb984743a2 (このIDを非表示/違反報告)
まつあい(プロフ) - めちゃくちゃ好きです…泣 (2021年8月17日 5時) (レス) id: 616babd1d8 (このIDを非表示/違反報告)
愛月咲良(プロフ) - この作品に会えた事を感謝します… (2021年8月17日 4時) (レス) id: 4a6d894003 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年8月17日 1時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:金蔓ゆるり | 作成日時:2021年8月16日 5時