Order No.9 ページ10
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Samatoki 's Perspective
「おい、おいA、着いたぞ。起きろ。」
『んー…』
「…」
車を止め、助手席で気持ちよさそうに眠るAに声をかける。
顔を覗き込むと全く起きる様子もねえ。
博物館の開館までまだ30分ほど時間があるのを確認し、
近くの海辺までもう一度車を走らせた。
横浜の海よりも遥かに爽やかな雰囲気で、車の窓を開けると
涼しい風がちょうど良く車内に入ってきた。
すやすやと寝息を立てるAの髪を、海風がゆっくり揺らす。
車を停めてAを見つめる。
もともとコイツとこんなに関わるとは思っていなかった。
たまたま何かの巡り合わせで同じカフェに、
同じ時間帯に居合わせた奴がコイツじゃなかったら、
きっとこんなふうに出かけたりはしていない。
ただ、初対面で俺様にアロハ着てないとか言いやがったその
肝の座り様に、平たく言えば興味を持ったと言ったところか。
確かに初めはその程度だった。
それでも、自分の好きなことについて楽しそうに話す姿を
見て、どうにもコイツを隣に置いておきたいと思った、
女々しいクソ情けねぇ自分がいた。
『ん…あれ、うみ、、』
「起きたかよ、」
『ここ、伊豆⁈ごめんなさい、到着してたんですね!』
「まぁな。涎垂らして寝てたからよ。起きるまで車走らせた。」
『よだれ!!?』
「ハハ、ジョーダン。」
『え、、なんか、面白がってます?』
「面白がるも何も、お前もともとおもしれぇだろ。」
笑いながら返すと、不満そうな声を漏らしてジト目で俺を見る。
それにまた笑って返せるほど、俺様はコイツに絆されていた。
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作者名:さざなみ | 作成日時:2020年6月19日 13時