裏切り者 【The Dirty Dawg】

初めての【過去 一郎編】 ページ24

Aside




政府の人に追い回され、重傷を負っていたことが何年も前だと思うぐらい不思議な感覚になる





『海が綺麗だね』




とそう零せば




一「それ意味わかって使ってます？｣



なんて返される。意味？と尋ね返すと、なんでもないっすなんていってそっぽ向く




海が綺麗なことに意味があるのか？もしかして反海綺麗派とか？いや海は綺麗でしょ、なんて1人で考える




『あっ、やっば。そろそろ帰んないとじゃない？』



一「俺はまだいたいけどまぁ帰りますか」




自身の時計の数字がもう11時を指していてさすがに帰らなくてはと思う





一「そこ、ちょっと危ないから気をつけて歩けよ？」



『わかってる〜』




一郎が濡れた靴を拭いている間私はまだ海の中にいて歩き回っていた



一「ほら、そろそろ帰るんじゃなかったのかよ」



そういわれて渋々海から出ようとした時



後ろから大きな波に足を攫われて後ろへ倒れてしまう



『うわっっっ！！』



膝カックンみないに倒れるなぁ。まぁ海なら大丈夫か、なんて呑気に後ろへ倒れかけていたら



一「おい！A！！」



一郎が私を助けようと駆け寄ってくる




バシャァァァン！！



結局2人して海の中に倒れ込んだと思ったら、唇に柔らかい感触が



波が引いて濡れた砂浜の上で倒れた私たちはキスをしていた



慌てて一郎が起き上がったと思うとまた波がきて私だけ頭から被ってしまう



『ぶはっっ！！』



一「大丈夫っすか？」




平然を装って手を伸ばす彼はその赤い顔を誰にも見せないように手で覆っていたが

月明かりが残念だったなというように彼のその赤い顔を煌々と照らしていた



ファーストキスだ、なんて私も照れていたのはこれまた別の話だ。

暇すぎる【過去 左馬刻編】→←海【過去 一郎編】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す