猿女のち彼女【碧棺左馬刻】

出産 ページ42

左馬刻side


「奥様の様態が急変されました。すぐに病院へ来てください」


そんな無機質な機械音と共に聞こえる冷淡な言葉


俺は車を飛ばして駆けつけていた




￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

1週間前…………



『ぶっちゃけさ、左馬刻の将来よりも私の将来の方が心配なんだけど』


左「なんなんだよお前」


予定日まで数週間ということで、別にいいよ、なんていうAを説き伏せて入院させた


当の本人は今のように俺のことより自分の方が心配だ〜とか夜の病院本当に怖いとか抜かす



左「そんな調子だったら出産も別に怖かねぇな」



と笑って言うと、あったりめぇだろいなんて、どんなキャラ設定だと思うような返事をされる



大きくなったAのお腹を撫でて呑気に会話を毎日交わしていた




￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

左「っっ先生！！Aは？！」


病院に駆けつけたら大勢の助産師と共にいる先生を発見した


寂「！左馬刻くん」



こちらを振り向いて少し顔に影を落とす先生



寂「予定よりとても早いね……。もしかしたら母子ともに無事ということがないかもしれない」




急な話に口が塞がらないでいると、最善を尽くすよといってAがいるであろう部屋に入っていく




急に力が抜けて俺はベンチに座って壁にもたれかかっていた





聞こえてくるのは苦しい声をひたすらあげるAだった

2→←3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す