猿女のち彼女【碧棺左馬刻】

6 ページ26

Aside


正直自分のことは全然構わない


昔からちょっと可愛いから調子乗んなとか、男に媚び売ってうざ、なんて陰口は当たり前だったからだ


本当は辛かった。ただ楽しくて大きな声で笑ってただけ、話しかけられたから話返してただけ


それがなんでイキってるとか出しゃばりとか言われなきゃいけないのって


泣きそうだったけどここで泣いたら負けだって言い続けて今まで生きてきた


だから自分のことを言われるぶんにはもう散々というほど慣れている


けど、けどさ？


『先輩方に左馬刻の何がわかるんですか？』


左馬刻のこと全部知ってての発言？それなら許すよ


『確かに左馬刻はすごい強引なとこあるし、いつも目を離したらすごい美女に囲まれてますけど……』


あんたら一体左馬刻の何を知ってる訳？


私だけならいい。けど、左馬刻のことを悪く言うんだったら私は許さない


それぐらいに、自分よりもそれ以上に左馬刻のことが大切だから


『左馬刻は優しいんですよ』


『デートのときとか歩幅合わせるとか当たり前だし、人多かったら何も言わずに手を繋いでくるし』



『抱いてる時だってすごい挑発してくるけど結局優しくしてくれるし、次の日の朝とか揶揄ってくるけど大丈夫か？って聞いてくるし』


『行動も言動も最高潮にかっこいいんですよ？』


『のくせして、この前パスタ作るってなった時塩と間違えて砂糖入れて、あ。とか言ってたし』


『さいっこうに可愛いんですよ』



『私の自慢の彼氏なんですよ？あんたらが思ってる左馬刻とか偽の左馬刻ですよ。本物はね、もう好きで好きでたまらなくなるんです』



『私から告白したから左馬刻は本当は私のことが好きじゃないかもしれません。』



『それでも別にいいんです。いつか左馬刻が俺の女だって、俺の彼女だって、そう思ってくれる日を願って頑張ってるんです』


『私のこと悪くいいたいならどうぞ言ってください。もう慣れてますから』



『だけど次左馬刻のことなんも知らないくせして悪くいうんだったら本気できれますからね』


それじゃあ、といってお金を払わずに会社に戻る


あー。先輩たち私の悪口言ってるんだろうなんて思いながらも歩き続ける



いつか、私だって左馬刻の彼女だとほかの人に胸を張って言えるように




『修行するかぁ……』

7→←5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す