検索窓
今日:16 hit、昨日:12 hit、合計:163,207 hit

79#遅刻か否か ページ36

太宰に支えられながらも、よろよろと覚束無い足取りで探偵社への道を歩く。

あのね時々、大丈夫?なんて心配して呉れるけどね?

原 因 、 お 前 だ か ら 。

…其れに、最近非常に心のお口が悪いのは、誰のせいですかねえ。全く。

昨夜の彼は本当に非道かった。

お陰で腰が、歩けない程の激痛に参っちゃっているし。

出来るだけ急いでいる心算にも関わらず、進む距離は短く歩みは遅い。



漸との思いで武装探偵社の入り口まで辿り着くけれど。

もう既に、本来の出社時刻までは残り2分を切っている。

然し其処に立ち塞がったのは、

何時もなら全力で駆け上がってギリギリセーフの、4階まで続く此の階段。

此の魔物には、こんなに遅く歩いてちゃ絶対に、そう100%勝てやしない。

其れでも時間内に上りきらなければ、

国木田さんのお説教、正座で数時間コースだ。

何時も思う。怒っている時間が勿体無いな、って。

…ま、説教延長になりそうだから、此れは秘密の話なわけで。

なぁーんて、これはまた余計なことを考えながら、

階段を一段、また一段と階段を上って行くけれど。


『あー…これ絶対間に合わないなあ。太宰、先行ってて佳いよ。


あと1分半あるし、今なら多分間に合うから。』


流石に原因が太宰だとはいえ、私のせいで遅刻も申し訳ない。

…否、此の人は遅刻常習犯だけどさ。

彼は少し首を傾げ、考えるそぶりを見せた後、

ゆるりと微笑んで私を見た。


「そうかい?じゃあ、遠慮なく。」


嗚呼、佳かった。先に行って呉れる。

そう思ったのも束の間、気がついた頃にはふわりと宙に浮いていた。


『えっ…ちょ、太宰、っ』


戸惑いの隠せない声と、勝ち誇ったような笑みを浮かべた太宰。

状況を上手く飲み込めない儘、彼は私を姫抱きにして階段を駆け上がる。

…嗚呼、私を置いて行かないで呉れたんだなあ。

なんて、漸く全てを理解した時には、

もう其処には、武装探偵社と書かれた木札の掛けられた扉が目の前にあった。


「ふふ、ちゃんと間に合ったじゃあないか。」


『あ、ありがとう…!』


「どう致しまして。…さ、遅刻になる前に入ろうか。」


再び二人で出社する朝、定刻三十秒前。

80#瞳の奥→←78#不機嫌な朝


  • 金 運: ★☆☆☆☆
  • 恋愛運: ★★★☆☆
  • 健康運: ★★★★★
  • 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした!


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (209 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
494人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

夜空 - 僕、まだ13歳なんだけど見て大丈夫なのかな…(まあ意味わかるんだけど) (2022年6月7日 8時) (レス) @page22 id: 234ea08343 (このIDを非表示/違反報告)
Liea(プロフ) - wwらすくさんそれなです (2018年3月5日 16時) (レス) id: 99a35ea8a6 (このIDを非表示/違反報告)
らすく(プロフ) - Lieaさん» ついに映画きましたね!ほんともう双黒の尊さにハゲそうになりましたよ… (2018年3月5日 0時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)
Liea(プロフ) - とうとう映画公開されましたねぇ!やっぱり文ストは最強ですわ。 (2018年3月4日 16時) (レス) id: 99a35ea8a6 (このIDを非表示/違反報告)
らすく(プロフ) - みたら士さん» イヤー、オトナ太宰サンムズカシーナー(棒) (構ってもらえるのは嬉しい限りですん( ^ω^ )) (2018年2月23日 22時) (レス) id: a72fad02fa (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:らすく | 作成日時:2017年11月5日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。