【文スト】ふぅん、私に逆らうんだ？【太宰治】

78#不機嫌な朝 ページ35

『…最っ悪。』


目を覚ますなり何も無い空間に毒を吐いて、

カーテンの隙間から差し込む朝日を睨みつけ、腕で目元を覆った。

然し、私が朝一番にこんな科白を呟いたのは、安眠妨害をしてきた陽に怒っているからじゃない。

抑も、何故か今朝はずっと黙りこくった儘の目覚まし時計のせいで

もう起きなきゃ出社時刻に間に合わないから、感謝しているといえば感謝している。

そう、だから起きなきゃいけない。なのに_________


「あ、起きたのだね。おはよう。」


『否、おはようじゃないし！！』


掛けられた朝の挨拶に、非常に怠い腕をずらせば、

其処には清々しい程の笑顔で此方を覗き込む太宰の姿。

何故いるのかという問いは、傍迷惑にも腰の激痛が教えて呉れている。


「若しかしてA、まだ夜の気分？」


なんて其れは其れはもう楽しそうにクスクスと笑う愉快なお顔に、

華麗なる一撃をお見舞いする。

…心算だったけど、布団から起き上がる事ですら腰に走る痛みに阻まれ、

ひらりと余裕の表情で躱されて終わり。


「ほ〜らぁ〜、疾く〜起きなよ〜」


嘗ての想い人のあの人や、眼鏡系理想主義者を揶揄っている時の様な此の表情は、

絶対に、そう100%私の状況を知っての事だ。


『太宰のせいでしょ莫迦ぁ！！国木田さんに何て云えば佳いの！？』


動けない程の腰痛にて出勤不可、とか云えたもんじゃない。

…其の理由なんて更に云えやしない。

其れに昨日「明日凡ての仕事をこなす」と云ってしまった以上、

有休を取ってしまうのも非常に無責任な話で。


「んー…じゃあ今日は、脚が痛いフリをし給えよ。

其れなら私が支えていても何も可笑しくはないだろう？

“来る途中で脚を捻った”とか、言い訳なら色々あるしねえ。」


『…乗った。』


怪しまれずに出社する事だけを考えていた私は、

回らぬ早朝の脳味噌を夢の世界に置いてきた儘、

深く考えることもなく其の考えに同意した。




…其れが、運の尽きだった。




＊ーーーーーーーーーーーーーーーー＊

え？お兄様(立原くん)の出番？

え？お家にいないの、って？

……。

だって、マフィア忙しいもの。(いい笑顔)




(忘れてたとか言えないなぁ…)

79#遅刻か否か→←77#太宰うさぎ

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